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「偵察衛星は、常時1地域を監視できるものではありません。偵察衛星は、高度300kmから500kmくらいで、地球を南北方向に秒速7.9km、時速で2万8000kmくらいで回ります。地球は自転するので、各地の上空を1日約1回通過する。北朝鮮の上空を通るのは1日1分くらい。だから固定された目標、原子力発電所や飛行場、舞水端里や東倉里にあるような宇宙センターであれば写りますが、ミサイルは移動式発射機に載せて山間部のトンネルに隠しているので、どこにあるかわかりません。目標地点の緯度と経度を入力しなければ、トマホークは撃てません。
敵基地攻撃は自衛権の範囲か否かの問題ではなく、軍事技術的にできないのです。日本が攻撃されれば報復として平壌などを爆撃するという考えもあるでしょうが、米国海・空軍と韓国空軍を合わせると、日本と段違いに大きい航空戦力なので、日本が加わっても微々たるものです。韓国は射程500kmの玄武(ヒョンム)2型弾道ミサイルを2000発近く持っているので、それを平壌などに発射するでしょう。日本が出る幕ではありません」(同)
文在寅大統領の対話路線
韓国では、北朝鮮との対話を求める文在寅大統領が誕生した。ミサイル発射は対話の実現を阻害するものとはならないのだろうか。
「北朝鮮の脅威は、韓国にとってはいつも目の前にあるものです。1953年に朝鮮戦争は休戦になりましたが、ソウルから40kmほどの停戦ラインのすぐ北には、朝鮮半島を横断する全長約240km、奥行き約30kmの地下陣地が朝鮮戦争中に中国軍によって築かれて、米軍の猛烈な爆撃・砲撃に耐えて戦線を保持しました。北朝鮮軍はそこにトラックに乗せた22連装の240mmロケット砲(射程60km)や、170mm長距離砲(同40km)など、2500門を配備している。戦争になったら当然それを撃ち込んできます。
もしそうなれば、ソウルは火の海になります。ソウルは韓国の人口の約3分の1が住んでいるので、致命的な被害を受けることになります。今回ミサイルを撃ったから対話しないという話ではなく、戦争が再開すればどの程度の損害を受けるかという現実的な問題です。北朝鮮がまったく弱ければ話し合いをする必要はないが、戦力を強めれば、韓国としてはますます話し合いをする必要があるでしょう」(同)
(構成=深笛義也/ライター)
※次回に続く
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