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韓国の「無能外交」…ミサイル発射活発化の北朝鮮へひたすら「融和」訴え、完全無視される

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 これが、韓国が持つべき戦略=対北朝鮮政策と考えられる。ある韓国在住の政治学者は、文政権がこうした戦略を提示できないことが中長期的な国力の低下につながりかねないとの懸念を示していた。その指摘は軽視すべきではない。

中国との関係強化を重視する文政権

 
 文政権が戦略なき、矛盾した対北朝鮮政策を続ける背景には、中国への配慮がある。足許の韓国経済は安定しているが、この要因として、サムスンの業績が拡大していることは無視できない。その一方、現代自動車は中国での販売が減少している。これは、今年2月、韓国が米国のミサイル防衛システムの配備を進めようとしたことを受けて、中国が韓国企業への制裁を行ったことなどが影響しているようだ。

 韓国は構造改革を進め、競争原理が発揮されやすい経済体制を整備しなければならない。1997年のアジア通貨危機の発生以来、多くの経済の専門家がこの点に言及してきた。長い目で考えると、構造改革が民間企業のイノベーションを支え、財閥企業に依存し、支配されてきたとまでいわれる経済構造の刷新につながるだろう。一時的な痛みは避けられないが、それが経済格差の是正にもつながると考えられる。口でいうほど簡単なことではないが、文政権はそうした成長戦略を策定し、国民の理解を取り付けなければならない。

 現実の政策を見ると、文政権は構造改革よりも、今ある経済基盤の活用を重視し始めているようだ。大統領就任以降、財閥解体などに関する踏み込んだ発言などは出ていない。見方を変えれば、文政権は、まず中国との関係を強化し、その上で財閥改革などに着手すればよいと考えていると見ることもできる。

 加えて、米国は韓国とのFTA(自由貿易協定)の再交渉を求めている。それだけに、韓国にとって中国との関係を強化することの重要性は増しているとも考えられる。今後も北朝鮮は米国などを念頭に、軍事的な挑発を続けるだろう。それでも、韓国は対話を軸に北朝鮮問題の解決を目指す可能性が高い。これは、韓国の政治が自国を核やミサイルのリスクに晒していることにほかならない。

長期化が見込まれる朝鮮半島情勢の混迷

 
 今後も韓国経済は財閥企業の経営動向に左右されるだろう。国内の経済格差が解消に向かうとは考えづらい。北朝鮮への懸念も高まる恐れがある。文大統領の支持率が低下し、政権運営が難しくなる展開は排除できない。

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