「金日成が南朝鮮(韓国)を軍事的に併合したいと考えて、旧ソ連のヨシフ・スターリンの許可を得て、北朝鮮は38度線を越えて南進したのです。当時は北朝鮮軍のほうが圧倒的に強く、韓国政府はソウルを放棄することになりました。
そうすると、李承晩はアメリカに泣きつくわけです。アメリカは国連決議に基づいて国連軍を組織して、朝鮮半島で北朝鮮軍と戦いました。国連軍によってソウルは奪還され、北朝鮮軍は敗走します。
当初、国連軍は38度線を越えるつもりはなかったのです。北朝鮮が韓国に攻めてくる前の状態に戻す、つまり原状回復が国連決議の内容でした。北朝鮮を38度線以北に追い出すことができれば、それで終わりのはずだったのです。
しかし、李承晩は以前から『北進統一』を掲げていたので、韓国軍は38度線を突破して北上。米軍も北上して平壌を制圧し、米韓軍は中朝国境の鴨緑江にまで達しました。
そうなると、金日成は中国共産党の毛沢東に泣きつくのです。毛沢東は中華人民共和国を建国したばかりだったので、できれば参戦したくなかった。ただ、『もし国連軍が38度線を越えて北朝鮮に攻め込んでくるのであれば、中国軍は参戦する』というレッドラインを決めていました。結果的に、中国が義勇兵を派遣して平壌を奪回し、ソウルは再び制圧されます。国連軍は体勢を立て直して反撃しますが、38度線付近で膠着状態になります」(同)
紛争に周辺国を巻き込んできた朝鮮半島の歴史
そして、1953年7月27日、板門店で北朝鮮・中国軍と国連軍の間で休戦協定が結ばれた。
「しかし、『北進統一は正しい』としていた李承晩の韓国は、停戦を不服として調印式に来なかったのです。アメリカも中国も巻き込んで、大戦争をやってしまった。どちらも大きな犠牲を強いられて、アメリカも中国も嫌気が差した。しかも、戦争をやった結果どうなったかといえば、開戦前に戻っただけ。『いったい、なんのための戦争だったのか』と疑わざるを得ないわけです。
そんななか、韓国だけが『停戦したくない』、つまり『戦争を続けましょうよ』と言う。そんな国、ありますか? 自分たちの兄弟ゲンカに、よその人たちを巻き込んで、まわりが『やめたい』と言っているのに、当の本人が『やめちゃダメだ』と言うわけです。
よく『韓国と北朝鮮はいまだに休戦状態だ』と言われますが、韓国が休戦協定を承認していないのですから、まだ戦争中ですよ。この論理からいえば、韓国は北朝鮮にいきなり攻め込まれても文句を言える立場ではないのです」(同)
北朝鮮と韓国の「まわりの国を巻き込む」という性質は、今に始まったことではないわけだ。さらにさかのぼれば、ほかにも例があるという。
『朝鮮半島はなぜいつも地獄が繰り返されるのか 中国人ですら韓民族に関わりたくない本当の理由』 なぜ韓民族は約束を守れないのか? どうしてすべて他人のせいにするのか? 朝鮮半島に内紛が絶えないのはなぜか? 元中国人の著者だからわかる韓民族の歴史的悪癖とその背景。