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長期停滞へ完全に別れ
さて、大勝した安倍政権にも問題は山積みである。まず大きな問題が2つある。ひとつは北朝鮮リスクの顕在化である。日本だけでは対処できない東アジア全体の安全保障問題に、どのように関係諸国と連携して取り組んでいくか、国民の多くが不安とともに注視しているだろう。特に来月訪日するトランプ米大統領のアジア歴訪が、今後の北朝鮮リスクがどうなるかを占う目印になるだろう。
例えば、米中首脳会談でどのようなことが話し合われるのかが注目される。北朝鮮問題に、日本がどのように関与できるのかできないのか、これから年末までがひとつの山場であり、安倍政権の外交手腕が問われる。
さらに国内でいえば、経済問題に尽きる。大勝を受けて安倍首相は記者会見の場で、人口減少社会に対応した新しい経済政策の提言をまとめるとしている。これはおそらく教育や社会保障などの強化を含んだ、積極的な財政政策の転換にならなければいけないだろう。もし緊縮的な財政政策の発想に陥れば、せっかくの日本経済の上昇傾向が大きく破綻してしまう。
さらに来年には日本銀行の総裁・副総裁人事が待っている。その人事を契機にして、1990年代初めからの長期停滞に完全に別れを告げることのできる、積極的な金融緩和政策を継続できる人材の登用が期待される。これは積極財政政策とともに安倍政権の欠かせない両輪になるだろう。もしそのような積極的な金融・財政政策の構築に失敗すれば、安倍政権自体のみならず、日本経済自体に危険信号が点ることだろう。
(文=田中秀臣/上武大学ビジネス情報学部教授)
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