新聞各社の世論調査で「評価しない」と答えた人は、以下の通り。
朝日 70%
読売 65%
毎日 64%
共同通信 64%
国民の多くが、森友・加計問題を追及されるのを嫌った首相個人の「自己都合」による解散であると感じている。あるいは、民進党の離党続出や小池都知事らが新党準備を進める前の時期を狙った、党利党略による解散だと見抜いている。
今回の解散について批判的な意見に対して、「2012年の野田政権を批判しないで安倍首相の解散を批判するのはおかしい」というような見解を述べている識者もいた。
しかし、野田政権による衆議院解散は、野田首相(当時)の「自己都合」ではなく、党利党略とも違う。野田政権が最大のテーマとしていた消費税増税を含めた「社会保障と税の一体改革」について、与党(民主党)と自民党、公明党の3党首による協議が行われ、そこで野田氏が「関連法案が成立した後、近いうちに国民の信を問う」と発言。それを受けて、自民党が強く解散を求めた。2012年9月に自民党総裁に返り咲いた安倍氏は、国会でも代表質問と党首討論で強く衆議院の解散を求めている。
この解散による総選挙で民主党は惨敗し、再び自民党と公明党が政権についた。まさに民主党政権の施政を問うための、実に民主主義の要請に沿った解散と言えるだろう。
日本と同じ議院内閣制をとるイギリスでは、かつては首相の解散権を認めていたが、法律によって縛りをかけた。解散には下院の3分の2以上の賛成が必要となり、与党だけでなく、一定のコンセンサスを求められることになった。
今年4月、メイ首相が下院解散を発表し、6月に選挙が行われたが、この判断は賛成522票、反対13票と下院が全会一致に近い形で指示されている。
衆議院の解散は、国民の審判を求めるという民主的な手続きを引き出す行為ではあるが、今回のような「自己都合」での解散を防ぐためには、何らかのルール作りが必要ではないか。それには憲法改正が必要なのか、それとも国会法の改正で可能なのか、まずはそこから議論を始めてもらいたい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)