トランプ米大統領が初来日しての日米首脳会談では、「ドナルド・シンゾウ」とファーストネームで呼び合う個人的な関係を反映して、安倍晋三首相が「日米が100%共にあることを力強く確認した」などと述べて、日米関係の緊密化を強調。トランプ大統領も「これほど密接な関係が両国指導者の間であったことはなかった」とアピールするほどだった。
しかし、それとは裏腹に、今回のトランプ訪日では日本にとっての今後の懸念材料も見つかった。それは対中問題だ。安倍、トランプ両氏が6日午後の共同記者会見で、北朝鮮問題について「中国の役割が重要」などと異口同音に中国に言及するや、それからほぼ1時間後に北京で開かれた記者会見で、中国外務省報道官が「我々は誰からも何をすべきだと言われる必要はない」と不快感を表明したのだ。
特に、中国側は安倍首相を意識してか、「アメリカからならともかく、あなた(日本)からは言われたくないよ」というような冷たい印象を感じさせるような物言いだった。中国の安倍首相に対する不信感が言葉の端々に滲み出たといってもよい。
特に、日米両首脳は日米同盟強化で一致しており、米国の地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を中心とした米国製の防衛装備購入などによる日本の軍事力強化に中国が強く反発、ようやく改善基調に戻りつつある日中関係が再び冷却化することも考えられる。
イージス・アショア
トランプ大統領は共同記者会見で、北朝鮮問題に関連して「我々は黙って見ていない。『戦略的忍耐』の時期は終わった」と述べるとともに、日本の防衛強化について「(安倍)首相はさまざまな防衛装備を米国から購入することになる」といっそうの防衛装備品の購入を求めた。安倍首相も「日本の防衛力を拡充しなければならない」と応じる姿勢を示した。
さらに、記者から関連の質問が飛んだのだが、この質疑応答部分は次の通り。
――大統領は日本が国防で強い役割を果たすよう望んでいます。北朝鮮のミサイルを撃ち落とさなかったことが残念との発言もありました。
大統領 首相がたくさん追加的な米国産の装備を購入したら、簡単に迎撃すると思う。
首相 日本の防衛力を質的に量的に拡充していかないとならない。ミサイル防衛システムが日米で協力して対処するシステムといってもいい。迎撃の必要があるものは迎撃していく。日米は緊密に連携している。