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今回、ご遺族は『被害者の顔写真を報道してほしくない』という願いをマスコミに伝えていたわけですが、マスコミが報道のために入手した顔写真は、おそらく被害者が個人的な範囲で写した写真か、一定の学校の卒業生のみが持つことを想定して卒業記念として作成したアルバムの写真であると思われます。
これらをマスコミが勝手に利用することは、当初の写真の目的を超えていることになるわけですから、被害者の意思に反する違法行為ととらえることもできます。なお、肖像権はその人に認められるものであり、ご遺族が受け継ぐことができるかどうかは別問題とします。
実際、一般女性を『新しい化粧品を体験する消費者』という目的で撮影した写真を、その目的を超えて無断で出会い系サイトの『サイト利用者の例』として利用した事例において、東京地方裁判所が、女性の同意の範囲外で写真を使用する場合は別の同意を得る義務があったと判断し、肖像権侵害を理由にカメラマンなどに対し120万円の損害賠償を命じたことがあります。
したがって今回、掲載された写真が、被害者が公表を望まない性質の写真であったならば、被害者の意思に反するものとして、これらを掲載したマスコミは損害賠償責任を免れないことになります」(同)
このように、被害者の実名を報道するかどうかは各メディアの判断に任せる以外にないというのが現状で、写真使用については損害賠償責任が生じる可能性があるという程度だ。
(文=編集部、協力=山岸純/弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士)
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