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愛媛県の中村時広知事は、県による補助金を出すかどうかは今治市の専門委員会の報告を待って決めたいとしていたが、報告書の提出が来年に持ち越され、県の決定も来年に持ち越された。県が支払わない時には96億円全額を今治市が補助することになる。
一方、すでに加計学園は来年4月の獣医学部開校に向けて推薦枠の募集を行うなど生徒募集に入っている。校舎建設も進み、内装に入ったとされている。今年1月に獣医学部の新設申請が国家戦略特区諮問会議で認可される前に、ボーリング調査などの工事準備に入り、文科省の認可決定前に公的資金を受ける工事を進め、今また学生を募集する。
これに対して一石を投じたのが今回の住民訴訟といえる。これまで加計学園の加計理事長は国会や今治市への説明会などにも姿を見せず、記者会見などでの説明すら行っていない。裁判の中で参考人として呼び出される可能性もある住民訴訟について、今一度考えたい。
口頭弁論が始まる
住民訴訟の原告である黒川氏らは、今年6月に住民監査請求で無償譲渡した市有地の返還や補助金支給の差し止めを訴えていたが、今治市監査委員はこれを却下したため、9月に住民訴訟に切り替えて訴えていた。
原告の黒川氏は口頭弁論に当たって、次のように述べた。
「まず第一に、今治市が土地を無償で提供したり、補助金を加計学園に出すということが公益性に適うのかを問題にしています。加計学園が学園の申請通りに文科省で認可されるかどうかが一つの注目点でしたが、11月に文科省の設置審議会によって答申が出され、大臣によって認可が決定してしまいました。しかし認可が決まったからといって、石破4条件に適合したのか検討も行われず、問題は山積みされたままです。結局、安倍首相が腹心の友である加計孝太郎氏に便宜を図ったという疑念は消すことができません。今治市が今回のような民間の事業に補助金を支給するためには、公益性が必要になりますが、加計学園の獣医学部建設にはこの公益性がないことを、国会論議などとも結びながら裁判のなかで明らかにしていきたいと考えています」
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