2017年の訪日外国人旅行客(インバウンド)数は、2869万1000人(推計値)となり、16年の2403万9000人を超えた。5年連続で過去最高を更新した。政府は訪日客を20年に4000万人、30年に6000万人にする目標を掲げている。
東日本大震災が発生した11年のインバウンド数は約622万人にすぎなかった。1000万人を超えたのが13年。驚くべきスピードで増加し続けていることがわかる。専門家は今の勢いが続けば、20年の4000万人の達成は十分可能との見方を示し、8兆円の消費が見込まれるとのバラ色の予測も出ている。
17年1月から11月までの国別の訪日客数トップ5は次の通り。
1.中国 679万1500人(前年同期比14.2%増)
2.韓国 646万1200人(同40.6%増)
3.台湾 424万4600人(同9.2%増)
4.香港 202万4300人(同22.7%増)
5.米国 125万8800人(同10.6%増)
11月だけをみても、トップ4の東アジア諸国が全体の72.6%を占めている。これにインドと東南アジアを加えると85.3%にも達する。依然としてアジア観光客頼みというのが実態だ。
「民泊」新法施行で国と自治体に隙間風
インバウンド激増と19年のラグビーワールドカップ、20年東京五輪開催というビッグイベントを控え、東京、大阪、京都をはじめ全国各地でホテルの建築、増改築ラッシュが続いている。
一方で今年6月には、一般住宅に有料で客を泊める「民泊」新法(住宅宿泊事業法)が施行される。17年10月には詳細なルールも固まった。ところが、この新法をめぐり、国と地方の自治体の間に隙間風が吹いているのだ。
「2020年にインバウンド4000万人の目標を掲げる国は、民泊を推進する姿勢です。一方、京都市や北海道などは増え続けるトラブルに苦慮し、市民生活への悪影響を懸念して独自の営業規制を検討しています。規制緩和、民泊推進の国は、自治体による規制を必要最小限にとどめようと禁止区域や期間を具体的に明記するよう自治体にプレッシャーをかけています」(観光業界に詳しいジャーナリスト)
なぜ、自治体は民泊に歯止めをかけようとしているのか。