首相官邸、佐川氏逮捕を期待か…証人喚問で改ざん関与否定→衆院解散シナリオくすぶる
「佐川はサムライにはなりきれないだろう」
さて、佐川さんは証人喚問にどのような姿勢で臨むのでしょうか。永田町でも関心が集まっていますが、大きく分けて2つのパターンが考えられます。
(1)“サムライ”になりきり、「すべて自分が指示して文書の書き換えをさせた。理由は、安倍首相に恩を売って偉くなりたかったから」と主張する
(2)「自分は前任の局長からこの件についての引き継ぎは受けておらず、委員会での答弁も部下が作成した文書を読んだだけ。文書の書き換えには関与していない」と話し、ほかの人たちも巻き込んでいく
永田町で多い観測は後者。つまり、「佐川はサムライにはなりきれないだろう」「たくさんの人を巻き込んでいくのでは」という意見です。その結果、支持率がさらに下がれば安倍政権は本格的な危機に陥りますが、「あるとすれば、総辞職じゃなくて解散だろう。安倍の性格なら」という声も聞こえてきます。
佐川さんとすれば、森友問題をめぐっては踏んだり蹴ったりです。無理筋の答弁を繰り返して「官邸を守ったヒーロー」と評価されて国税庁長官に出世したにもかかわらず、長官就任に批判が集まりホテル暮らしを余儀なくされました。その費用は官邸持ちかと思いきや、国会で政府に「自費で支払っている」と答弁されています。さらに、定年前に辞職せざるを得なくなり、懲戒処分で退職金も減額されました。
本来であれば、「関係者に事情を聞く」というスタンスの参考人招致を行ってから証人喚問に移るという流れもありましたが、いきなり証人喚問となった佐川さんは、すでに外堀を埋められているように見えます。そして、証人喚問後には大阪地検が任意の事情聴取を検討しています。
実際には、逮捕も現実味を帯びていることを考えると、おそらく「記憶にない」「刑事訴追の恐れがあるので証言を差し控える」などと言ってほとんど答えないでしょう。だからこそ、与党も佐川さんの証人喚問に応じたのだと思います。
「本当のことを話すと、幸せになれる。本当のことを言わないと、やっぱり苦しいばかり。『佐川事件』なんて言われ方は本当に気の毒。本来はこれは国有地不当払い下げ隠蔽事件ですからね。佐川さんの事件なんて言うのはおかしい」
前文部科学省事務次官の前川喜平氏は朝日新聞でこう語っていますが、まったく同感です。このまま「佐川だけが悪い」と罪をかぶせられて逮捕、起訴されれば、おそらく退職金は支払われないでしょう。そればかりか、家族も誹謗中傷されて外出すらままならない事態になるかもしれません。そうなる前に、すべてを話してほしいと思います。
そして、読者のみなさまは、冷静に事実を把握し、状況を認識し、この問題を評価していただきたいと思います。
(文=神澤志万/国会議員秘書)
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。