そこで、国は今年4月に施行された改正介護保険法で、介護老人保健施設の定義を次のように改正した。
「要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設」
具体的には、リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設かつ在宅復帰・在宅療養支援のための地域拠点となる施設である。さらに2018年度介護報酬改定にともない、強化型、加算型、従来型の類型も変更され、超強化型、在宅強化型、加算型、基本型、その他型の5類型になった。どの各類型に該当するかは「退所時指導等」「リハビリテーションマネジメント」「地域貢献活動」「充実したリハビリ」の評価および在宅復帰・在宅療養支援等指標で評価される。この指標は「在宅復帰率」「ベッド回転率」「入所前後訪問指導割合」「退所前後訪問指導割合」「居宅サービスの実施数」「リハビリ専門職の配置割合」「支援相談員の配置割合」「要介護4又は要介護5の割合」「喀痰吸引の実施割合」「経管栄養の実施割合」の10項目である。
10項目の合計値が20以上で退所時指導等とリハビリテーションマネジメントが算定されれば基本型、40以上で基本型に加えて地域貢献活動が算定されれば加算型、60以上で加算型に加えて充実したリハビリが算定されれば在宅強化型、70以上なら超強化型に該当する。この5類型に設定された基本報酬の差は、老健経営の盛衰を大きく左右する。
全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、100床の老健が要介護3で満床になった場合について、次のように試算している。
「現状で従来型が新たに『基本型』になったとして、年間108万円のプラスとなります。次に、現状で加算型の施設が『新・在宅強化型』となった場合には、大きく上がって、1,800万円のプラスに。さらに、現状で在宅強化型が『超強化型』になると、1,872万円 のプラスです。 ちなみに、先程、現・加算型から一気に『超強化型』になる施設もあると述べましたが、その場合、3,600万円の増収です。これは大きい」(全老健機関誌『老健』18年4月号)
その他型には触れていないが、その他型は減収になるため、老健経営からの撤退に追い込まれるというのが大方の予想である。