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前妻DV報道のゴーン日産会長、責任逃れ経営者の裏の顔…テレビ局が後追い自粛の理由

文=深笛義也/ライター

日産という大きなスポンサー

 ゴーン氏にものを言える人物として思い浮かぶのは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領である。

「フランス政府はルノーの株を2割近く持っています。2年前、経済相だったマクロン大統領は、ゴーン氏のルノーのCEOとしての報酬が高すぎると批判しました。それで実際、2年がかりで下げさせましたからね。ルノーと日産はアライアンスを組んでいますが、日産をルノーの完全支配下に置けとマクロン大統領は主張しています。ルノーの工場で日産車を生産させてフランスの労働者の雇用を増やすのが目的ですが、これにゴーン氏は抵抗しているため、フランス政府にとってゴーン氏は邪魔な存在です。もともとマクロン大統領とゴーン氏は仲が悪い。そういう意味で今回の『文春』の記事は、元夫人のいるレバノンまで行くという大がかりな取材なので、バックにフランス政府がいるのではという憶測も出ているくらいですよ。まあ、『文春』だったらレバノンくらい行くでしょうから、それは穿ちすぎでしょうけど」(経済記者)

 文春の記事によれば、ゴーン氏によるDVは妻の首を絞めたり、「銃で自殺したらいい」と妻に言い放つなど、犯罪にもなりうるものだ。前財務省事務次官の福田淳一氏はセクハラで辞任した。明らかにそれよりは大きな問題だが、ネットでもほとんど話題にはなっていない。

「ネット社会とはいっても、結局はテレビの話題を追いかけていることが多いので、テレビがこれを取り上げていないからでしょう。テレビにとって日産は大きなスポンサーだということもあるでしょうが、ゴーン氏はなかなかつかまらないし、被害者の元妻がレバノンにいるのでなかなか後追い取材もしづらいということもあるでしょう。役人や政治家ではなく、経営者だということも、踏み込みづらい一因かもしれません。でもこれが、女性の権利をより重視しているフランスに飛び火すれば、一気に燃え広がるかもしれません」(同)

 日産広報部に今後の対応について聞いたところ、以下回答であった。

「『文春』の記事は拝見しましたが、プライベートなことなので会社としてのコメントはございません」

「文春」の報道によればゴーン氏の弁護士は、リタ前夫人の告発は虚偽であると回答しているとのことだ。ゴーン氏は、はっきりと自らの言葉で説明すべきではないだろうか。
(文=深笛義也/ライター)

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