国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは6月29日、自由報道協会で記者会見を行った。小松原和恵氏(海洋生態系担当)と石原謙治氏(キャンペーナー)の両氏が登壇。同月に公表した「ウナギ流通実態の調査結果」「プラスチック海洋汚染の国内外の動向とその問題点」についてあらためて説明し、記者団からの質問に答えた。
まず、小松原氏がウナギの調査について発言。調査は昨年9月~今年1月にかけて大手小売業者18社を対象に行った(うち16社が回答)。ウナギ加工品(以下、蒲焼き)の調達に関してのアンケート、各社が販売した蒲焼きのDNA検査が主な内容だ。
昨年販売された蒲焼きは16社すべてがニホンウナギでヨーロッパウナギの販売はなかった。取扱量を答えた12社の合計だけでも年間1200トン超が販売されている。
昨年、少なくとも10社(イオン、イズミ、オークワ、ダイエー、バロー、平和堂、マルエツ、ユニー、ライフ、ラルズ)では消費者に購入されず廃棄した商品があったと思われる。処分量を回答した5社の合計だけで約2730キロに上った。
蒲焼き55点のうち2点で、アンケート調査で企業が回答した種とDNA検査の結果に相違が見られた。オークワとユニーは「ニホンウナギのみ」と回答。だが、DNA検査ではアメリカウナギとの結果が出ており、ずれが確認されている。
ウナギの流通に関しては「密漁」に代表される不透明な部分が存在すると、かねて指摘されてきた。少なくとも11社(イオン、イズミ、コープデリ、西友、ダイエー、パルシステム、平和堂、マルエツ、ヤオコー、ユニー、ライフ)で販売されたニホンウナギ蒲焼きは、「違法・無報告・無規制(IUU)漁業や不正取引への関与がない」と保証できない商品。サプライチェーン(ウナギ稚魚の捕獲から消費者に届くまでの過程)の一部は追跡不可能であることが証明された。
回答した16社すべてが「ウナギはIUU漁業や不正取引への関与リスクが高い魚」と認識しながら販売を継続している。だが、こうした流通の危険性が消費者に十分伝わっているとはいえない。
「今回の調査から、ウナギの調達および消費には、環境・社会問題の両側面において解決すべき課題が山積みになっていることがあらためてわかりました。特効薬的な解決策はなく、漁業・養殖業・販売業などウナギにかかわるすべてのステークホルダーが問題意識を共通のものとし、改善に向けた具体的な対策を講じる必要があります」(小松原氏)
大量のプラスチックごみが海に流入
次に、石原氏が使い捨てプラスチックについて発言した。毎年最大1270万トン、毎分トラック1台分のプラスチックごみが海に流入している。1950年以降に世界で製造されたプラスチック製品は約83億トン。そのうち63億トンがごみとして捨てられ、8割近くは埋め立てや投棄で自然環境に残っている。
推測ではあるが、海に流入したプラスチックごみの94%は海底に残る。1%は海面または海面近くに浮遊。5%が海岸に流れ着くとみられる。石油由来のプラスチックの大半は生分解せず、細かく分解していくだけだ。