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労働環境の要因も大きい。子育て中の親に対する労働環境が整備されず、時短勤務どころか、そもそも定時で帰ることを良しとしない風潮が日本の企業にはある。男性総合職ならば残業は当たり前だという、昔からの価値観に縛られている会社も多い。その結果、男性による育児への協力はなされず、一方で女性が仕事も育児も抱えながら苦労する、ということは目に見えている。こうして妊娠が社会から歓迎されないという風潮が強まっていく。
結婚をも阻む現代の雇用状況
団塊ジュニア世代から氷河期世代にかけて、一定の人口ボリュームがあったが、その層の既婚率・出産率は高くない。原因のひとつに、劣悪な雇用環境というのがある。男女ともに長時間労働は当たり前、「ブラック企業」というスラングも、もはや一般に定着した。人々は仕事に疲れ、出会うことさえなくなった。それゆえ、未婚の30代が激増している。
また、就職氷河期世代にはいまなお非正規雇用という人が多く、それが結婚難に拍車をかける。男性も女性も非正規ならば出会う対象としてみなされず、結婚しにくいという風潮は否定できない。団塊ジュニア世代から氷河期世代以下の雇用環境や、働き方、保守的な上世代の育児環境への無理解、そういったものが結婚や妊娠から人々を遠ざけ、「妊娠嫌悪社会」は加速していくのである。それにより、この国は衰退していく。
(文=小林拓矢/フリーライター)
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