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日本の「ごみ処理」が売られるⅠ(3)

東京3市のごみ処理民間委託で疑惑浮上…焼却炉改修工事、必要性を偽装し多額税金投入

文=青木泰/環境ジャーナリスト
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東京3市のごみ処理民間委託で疑惑浮上…焼却炉改修工事、必要性を偽装し多額税金投入の画像1「柳泉園組合」の清掃工場の煙突

次々と破綻する説明理由

 東京3市(東久留米市、西東京市、清瀬市)の一般ごみの清掃工場を運営する柳泉園組合は、運営管理を「包括的」かつ長期間にわたって民間委託する。焼却炉の大規模改修事業を含む民営化であり、これまでの民間委託とは一線を画し、本格的な民営化に限りなく近いかたちといえる。

 このような長期包括契約を結ぶことは、この事業を委託された事業者からすれば、15年間にわたり毎年10億円もの収入が確保されるという大きなメリットがある。一方、この長期包括、民間委託契約について、住民が納得する説明がなされたかといえば、そうではない。

 もう一度基本に戻って、今回の長期包括契約を以下のように検討してみた。

(1)ごみの資源化・減量化の観点を欠いた長期包括契約

 ごみの処理量は、景気の動向やその市町村を取り巻く地域経済の動向、住民の資源リサイクルへの取り組みによって、大きく変化する。住民サイドから考えたとき、「安くなる」という説明が、例えば「15年で処理するごみ量が半減するため、ごみの処理費も大幅に削減され、その分安くなる」ということであれば、納得できたに違いがない。実際に3市では、ごみ袋の有料化などを実施し、ごみの減量化に取り組んでいる。

 ところが、今回の長期包括契約では、燃やすごみ量はほぼ変わらないとの予測を立て、ごみ処理にかかる経費は15年先まで現状と同じと想定して計画がつくられている。各自治体で取り組まれているごみの資源化・減量化の努力が、まったく生かされていない計画であった。
では、なぜ民営化で安くなるのか。

(2)「安くなる」という理由の不可解さ

 柳泉園組合が十分な説明をしなかったにもかかわらず、隠されていた点がわかったきっかけが、「安くなる」という説明のおかしさであった。この計画の是非が住民の間で議論に上り、調べていくうちに、「安くなる」根拠が成り立たないことがわかってきた。

 ほぼすべての業務を民間事業者に移管することが謳われながら、42名いる職員は一人も減らないこと。退職非補充の自然減の形をとり、さらに事業者から送られてくる職員は約6名であるという。人員的にはその6人分が、これまでより多くなるのだが、なぜ2~3割も安くなるのか。その理由は長期包括契約になるためだと説明されてきたが、それだけでは説明がつかない。

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