1月26日付の朝日新聞朝刊4面に載った記事が、防衛省内で波紋を広げているという。記事の見出しは『韓国疲れだ。日本を米西海岸沖に移したい』。昨年12月に起こった韓国海軍駆逐艦によるレーダー照射問題などを受けた“防衛省幹部”の「ぼやき」を伝えるもので、「そうすれば北朝鮮ともさよならできる」といった発言が紹介されている。
全国紙の記者によると、なんとこの発言の主は防衛省事務方トップの事務次官。この記事は、毎週金曜に開かれる防衛事務次官と記者クラブとのオフレコ懇談会での発言を載せた内容だったのだという。
「こうした懇談会における次官の発言は匿名で引用してもよいことになっているものの、基本的にはオフレコで録音は禁止、というのが新聞業界における“暗黙のルール”。現在の高橋憲一事務次官は冗談を交えながら記者の質問に答えることが多く、今回の発言も多くの記者はいつもの冗談だと受け流したが、朝日のベテラン記者だけが空気を読まずに深刻な発言ととらえたようだ」(同記者)
ちなみに、翌週の懇談会で高橋事務次官は、「日本を移したくてもできないから、隣国とうまく付き合っていかないといけないというのが発言の趣旨だ」とオカンムリ。各社の記者の前で「不愉快だ」「くだらない記事」と不満をぶちまけていたという。
反日を理由に国際ルールを無視
発言の真意はともかく、高橋事務次官の“ぼやき”は、今の日本政府内の空気を表しているのかもしれない。日韓請求権協定を反故にする徴用工問題での賠償判決、日韓両政府の合意を無視した慰安婦財団の解散。日本政府関係者からは、「また韓国がゴールポストを動かした」という声が聞こえてこない日はない。
昨年10月には、韓国が主催する国際観艦式において、海自艦艇の自衛艦旗(旭日旗)の掲揚自粛を韓国側が要求するという問題も起こった。
「自衛艦旗は過去の寄港ではまったく問題にならなかったものを、韓国軍が今回はなぜか突然参加国に対し、韓国の国旗と自分の国の国旗を掲げろと要求してきた。しかし軍艦旗は各国の主権を示す象徴であり、各国海軍の誇り。結果として海上自衛隊は観艦式への参加を見送ってしまったが、そのまま参加した他国はみな、韓国軍の要求を無視して軍艦旗を掲げ続けていました」(防衛省関係者)
今回のレーダー照射問題の後、韓国軍が海自哨戒機の「低空威嚇飛行」を非難するようになったのも、「構造は同じ」なのだという。
「そもそも哨戒機の任務は、自国の周辺海域を航行する他国軍の艦艇の動向を監視すること。他国の軍艦を見つければ、接近して証拠収集のために写真を撮影するのはどこの国もやっていることです。海自の哨戒機も、韓国軍の艦艇に対して年に何十回と接近しているが、これまでは抗議もしてこなかったのに……」(前出・防衛省関係者)。
また別の政府関係者も、「反日を理由に、国際的なルールを無視した独自の基準を作ってしまうのが今の韓国。根っこは、どの日韓問題も同じではないでしょうか」とため息をつく。