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ツタヤ図書館、虚偽広告調査中に和歌山市が「15億円」運営委託決定か…異例の短期間で選定

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
ツタヤ図書館、虚偽広告調査中に和歌山市が「15億円」運営委託決定か…異例の短期間で選定の画像1南海・和歌山市駅(「Wikipedia」より」)

「ミスではなく、意図的に利用者を欺いた社会的な不正行為ですよ。CCC和歌山市と締結している基本協定書にも違反することは明らかです。その点を指摘して、2月28日に市議会の代表質問で市に厳しい対応を求めましたが、市長は『国が指導したことなので市は関係ない』と、逃げの答弁に終始しました」

 そう憤慨するのは、和歌山市議会の林隆一議員だ。

 消費者庁は、レンタル大手TSUTAYAの動画配信サービスで、「全作品が見放題」と宣伝していたのは明確に虚偽と断定。これが景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして2月22日、同社に1億1753万円の課徴金納付命令を出した。この衝撃的なニュースに素早く反応したのは、意外にも地方の市議会だった。

 消費者庁から巨額の課徴金を課せられたTSUTAYAは、佐賀県武雄市などで公共図書館を受託しているカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の子会社。TSUTAYAはCCCグループの基幹事業であることから、今冬、新装開館が予定されている新和歌山市民図書館の運営者になるCCCにも、世間の厳しい目が向けられるのは必然だろう。

 林議員は市議会で、図書館の利用者カードに導入される予定のTカードについても、捜査機関へ裁判所の令状なしにCCCが会員情報を捜査機関に提供していたと明らかになったことを受けて、個人情報が外部に流出する危険性を指摘。今回のような、市民の期待を裏切る違法行為を犯した事業者に対して是正指導しなくていいのかと問いただしたが、市長は明確な根拠も示さず、ただ「問題ない」と繰り返すばかりだった。

 ちなみに、和歌山市はCCCとの間で、指定管理料として今後5年間にわたり毎年3億円、総額15億円払うことを明記した基本協定を昨年3月に締結している。

 問題となった、ネット経由で動画配信する「TSUTAYA TV」の広告には、「動画見放題月額933円」を契約すれば、魅力的な新作や人気の作品がすべて見放題であるかのように宣伝されていた。ところが、実際にこのプランで見ることができるのは配信動画全体の12%ないし26%程度で、「新作」及び「準新作」については、1%ないし9%程度だったと、消費者庁は認定している。

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