広告の背景に並べられていた魅力的なタイトルの映画は、ほとんどが「見放題」の対象外。提供されるポイントで見られる新作は2本程度だった。広告の但し書きにあたる「打ち消し表示」も、宣伝文句から離れた場所に小さく表示されており、誤解を防ぐものとは認められなかった。
そのような“詐欺的行為”していただけではなく、同じ時期にCCCは和歌山市から図書館運営の公務まで受託していた。そのことについて市が“お咎めなし”と判断するのであれば、違法事業者に巨額の税金が投入されることになる。
異様な短期間で指定管理者に選定されたCCC
TSUTAYAには、実は、これから炎上しかねない火種がひとつ燻っている。下の図は、CCCが2017年11月末に和歌山市民図書館の指定管理者に選定されたときのスケジュールである。
今年12月に南海電鉄・和歌山市駅前に開業が予定されている市民図書館は、CCCが運営することが17年11月30日に決まったのだが、それから半年後の18年5月30日に消費者庁がTSUTAYAに虚偽広告で措置命令を出している。
今年2月22日に出された課徴金納付命令は、このときの措置命令に従って手続きを進めた結果、罰則が正式に決定したことの発表だったわけだ。
注目したいのは、CCCが選定委員会で指定管理者に選定された17年11月24日である。時期的にみて、この時点で同社には、すでに消費者庁の調査が入り、いつ措置命令が出てもおかしくないという状態だった可能性がある。
なぜなら、後に課徴金対象と認定された期間は、前年の16年4月から始まっていたからだ。
消費者庁に聞くと、措置命令が出されるに至った調査の時期や具体的なプロセスについては「一切明らかにできない」とのことだったが「措置命令を出すまでに、事業者に弁明の機会を与えたり、資料の提出を求めるなど、それ相応の期間を費やしていると理解していいのか?」との筆者の問いには「そういう理解で構わない」との回答だった。
ということは、やはり措置命令が出る半年前に和歌山市で指定管理者として選定された時、すでにCCCは今回の違法行為についての調査を消費者庁から受けていた可能性が高い。
課徴金対象期間は16年4月1日~18年6月18日とされている。つまり、自社の基幹事業で違法行為を犯していた最中に、CCCは図書館の指定管理者に選定されたことになる。