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懸賞金付きの未解決事件が二十数年のときを経て、ついに弾けるのか【沖田臥竜コラム】

文=沖田臥竜/作家
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写真はイメージ

 世の中には世間を震撼させ、その後コールドケースといわれることになった事件が存在する。中でも認知度が高いのが、日本三大未解決事件といわれる「世田谷一家殺害事件」「柴又上智大生殺人放火事件」「八王子スーパーナンペイ射殺事件」だろう。

 これらの事件については、今でも時折、疑わしき人物が捜査線上に浮上したという、世間が色めき立つような報道を目にするころがあるが、実際は進展など起きていないケースがほとんどだ。事件を風化させてはいけないという社会の空気に押されて、あえて取り上げられることが多いといえるのではないだろうか。

 特に三大未解決事件についていえば、「疑わしき人物」というものはそもそも具体的には存在しえない。容疑者のDNAが現場に残されていたからだ。

 仮に容疑者ではないかと見られる、疑わしき人物が浮上したとしよう。その場合、アリバイなどを潰していく必要すらなく、現場に残されたDNAと、疑わしき人物のDNAが一致するかどうかを照合すればよいだけなのだ。それは、なにも困難なことではない。DNAは、その人物が立ち寄った飲食店からでも、捨てたゴミなど採取できる。その先にはシロかクロしかないのだ。

 そうした中にあって現在、20年以上前に起こったコールドケースに対して、それこそマスコミが色めき立つような情報が警察当局に寄せられている。

 それは、日本三大未解決事件ほどではないにしろ、誰しもが認知している殺人事件でありながら、今回浮上した人物には、事件当時、捜査の手が伸びていなかったのだ。それゆえ、DNA鑑定などもされていない。つまり今日までシロかクロかの審判を受けていないのだ。その理由をあげるとするならば、ひとつは地域柄という点があるのかもしれない。

 ただ、もちろん現段階において、その人物は犯人と断定されていない。あくまで、事件当時の状況とさまざまな点が一致するというレベルだ。だがもし弾けるようなことにでもなれば、メディアは大騒ぎになることだろう。

 二十数年間、閉じられていたパンドラの箱が開くかもしれない。これまで多額の懸賞金が懸けられてきたものの、有力な情報がなかった事件だ。ゆえにある関係者は「久しぶりに身震いを覚えた……」と漏らしたほどだった。

疑わしき人物に待たれるのはDNA照合のみ

 今言えることはこのくらいまでだが、筆者もある筋からこの知らせを受けたとき、まずあり得ないだろうな……というのが率直な感想だった。なぜならば、そこまで状況的に犯人に該当する条件が揃っている人物ならば、すでに潰しきられているはずで、手つかずの理由が判然としなかったからだ。

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『迷宮 「三大未解決事件」と「三つの怪事件」』

 私は、かつて信頼できる協力者を得て、未解決事件の取材を始め、莫大な資料をにらみつつ、時には現地へと赴き情報を集め、それを一冊に纏め、『迷宮』というタイトルで出版している。この本は、犯人探しを目的としたものではない。それどころか、これまで出版されてきた、未解決事件の犯人にあたかも辿り着いたかのように書かれている本を否定するために書いたものだった。なぜならば、先にも触れたように、未解決事件の捜査線上に疑わしき人物が浮上したとしても、その先にはシロかクロしかないからだ。

 繰り返すが、現場に血痕や指紋などが残されている殺人事件において、グレーな人物などは存在しない。もし、おもしろおかしい推理の上で導き出された犯人らしき人物が実在していたら、当局はグレーのまま放置しない。すぐにシロクロつけに行くはずだ。そうした事件が解決せずにデッドロックになった場合、疑わしき人物が浮上し、その後も存在し続けるということ自体、あり得ないのである。

 だが、今回のケースは違うといえるだろう。万に一つかもしれないが、弾ける可能性が残されているのだ。今回浮上した人物は所在がつかめており、DNAが一致するかどうかだけを確認すればいい。犯人しか知り得ない秘密の暴露などは必要とされないのである。

 私は今、この事件を調べ上げている。突き動かされるものがあったからだ。もちろん、金銭的なものではない。そして、取り掛かると決めれば、もしかすると起こるかもしれないアクシデントを想定しながら動き、なにがあっても言い訳はしない。

 ただ、突き動かす何かがあるかどうか、それだけだ。そして、約束である。どんなことがあっても私は交わした約束を守ろうと考える。自分の都合のいいような言い訳をして、途中で投げ出すことはない。だからこそ、そうした中で培ってきた人脈が、ものを調べたり、書いたりするにあたって、私の財産になっている。

 今回、私を突き動かしたものは、ある一言であった。そこでの約束であった。

 もったいぶった書き方になってしまったが、もしも事件が弾ければ、そうした経緯を話せるときがくるかもしれない。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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