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情報伝達のスピードは01年、02年当時とは比較にならない。日本プロ野球界は外国人差別の巣窟だなどという情報が世界中を駆けめぐれば、東京への五輪招致は幻となりかねない。
その意味で、熱烈なジャイアンツファンを自称するベテランアナウンサーが、過去に肌の色が違うことなどを理由とする差別的な発言を、よりによって生放送の場で行ったという事実は見逃せない。しかも謝罪は翌週になったという。ということは番組スタッフもその場では問題だと思わなかったということになる。
このベテランアナウンサーは、放送コードすれすれのハイリスクなコメントをウリにする芸人ではない。“ジャイアンツ愛モード”に突入したとたん、職業人としての分別や良識、責任感がどこかへ吹っ飛び、極めて無邪気に差別的な発言をしてしまったということなのだろうか。
そうだとすれば、ジャイアンツ愛ゆえなら視聴者は何でも許してくれるであろうという甘えがそこにあるのは間違いない。そこには世のトップアスリートたちに対するリスペクトというものが微塵も感じられない。いずれにしても、著名なベテランアナウンサーに、公共の電波で無邪気な差別発言を許したテレビ局があるのだから、同じことがもう一度起これば、日本人全体が差別好きな、民度の低い民族であるという誤った評価が、世界の人々から下されかねない。
今度ばかりは世界が見ている。球界関係者ばかりでなく、メディアにもその自覚が必要だろう。
(文=伊藤歩/ジャーナリスト)
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