一般人や無党派市民、新政党所属者が立候補を断念せざるを得ない世界一高い供託金によって、もっとも恩恵を受けている自民党の対応が実に興味深いので紹介しておこう。
(1)2001年の「衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」。議員の質問に対し、大竹邦実・政府参考人は「日本の場合は諸外国に比べますと、供託金の額が非常に高いものになっているのは事実でございます」と、世界的に見て供託金が高いことを認めている。
(2)2009年の国会では、供託金減額の公職選挙法改正案が衆議院で可決された。その内容は、選挙区300万円を200万円、比例区600万円を400万円にするというものだったが、衆議院が解散されたため参議院で可決せずに廃案になった。
(3)2015年の「衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会」で船田元議員は、「やはり今の公職選挙法全体の体系が、諸外国のなかでもかなり厳しいということは、私自身も認識をしております。しかし、昨今投票率が下がってきている、恒常的に下がってきているという原因のひとつには、やはり厳しすぎる公職選挙法の縛りが、ある程度は原因している」と述べ、選挙運動の厳しい制限と供託金が、恒常的な投票率の低下の原因だと指摘している。
(4)2016年3月12日、自民党青年局は自民党に対して、多くの若い世代が政治に挑戦しやすい環境を整備するために供託金の金額を早急に下げるべきだと提言している。
このように、さすがに自民党の中からも、供託金が高すぎるという声が相次いでいるのだ。
判決を前に、もう一度、立候補について差別を禁じている憲法44条を掲げておく。
「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」
判決内容が注目される。
(文=林克明/ジャーナリスト)
〇5月24日(金)15:00
〇東京地裁103号法廷(地下鉄「霞ケ関駅」A1出口)
※傍聴券抽選の可能性もあるため20分前までに裁判所正面入り口わきの抽選券配布場所へ
〇記者会見 16:00(司法記者クラブ)
〇報告集会 16:00~17:00(弁護士会館508ABC)