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明日、「供託金」違憲訴訟で画期的判決か…一般国民の選挙立候補を“妨害する”悪しき制度

文=林克明/ジャーナリスト
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「結果いかんでは、国会も対応せざるを得ない」と、宇都宮弁護士は言う。

 もし、供託金が憲法違反とされたら、ただちに国会は公選法改正をしなければならないだろうし、仮に原告敗訴でも判決理由に何が書かれるかによって、廃止しないまでも供託金の大幅減額へ向けて国会が動く可能性もある。

最大の政治勢力である「無党派」が排除されている

 選挙に立候補するのに300万円、あるいは600万円も支払わなければならない高額供託金のルーツを、改めて確認する必要があるだろう。

 1925年(大正14)、25歳以上のすべての男子に選挙権が与えられたが、同時に弾圧法の治安維持法、そして供託金制度ができた。

 立候補も投票も自由にできれば、無産政党(労働者政党)、一般人が大量に国会に進出してしまう。それを阻止するための治安維持法と供託金だった。

 そして第二次大戦敗戦後の民主化のなかでも、供託金は廃止されるどころか年々高額化され、世界一高くなってしまった。

 ちなみに、戦前は一定の税金を納めた者にのみ選挙権が与えられていたが、選挙法が改正されるたびに納税額が引き下げられてきた。戦後は逆に、供託金の額が選挙法改正ごとに何度も引き上げられてきた。

 したがって、2019年の現在も平等な自由選挙(普通選挙)は実現されていない。

 さらに、公選法では、文書図画の配布も原則禁止で、政治団体のニュースレターを配っただけで逮捕・長期拘留・起訴有罪にされた例もある。さらには戸別訪問の禁止をはじめ、ビラ配りやポスター張り、ハガキも公選法で厳しく制限されている。世界でも珍しい制限選挙といえるだろう。

 一方で現役議員、とりわけ与党所属の者は、1日24時間365日選挙運動しているも同然であるのに、新人や新しい政治威力、無党派市民は、わずかな選挙期間しか運動は認められない。そのため、存在さえ有権者に知らせるのが難しい。

 とりわけ最大の政治勢力である無党派市民の立候補が、高額供託金と選挙運動規制で阻まれているのが現状だ。

 まさに制限選挙であり、公職選挙法は政治弾圧の側面が非常に強い。

自民党からも「供託金は高すぎる」という声

 民主制度の根幹にかかわるこの訴訟は、2月27日に行われた第12回口頭弁論をもって結審し、5月24日の判決文言い渡しを待つのみである。

 原告側が提出した書面で注目されるのは、供託金について国会や政党がどのように議論してきたかを示した部分だ。

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