今回の規模の地震は、いつ起きてもおかしくないということだろうか。
「基本的にはそうです。ただし、科学的に十分に検証されていませんが、それぞれの地域で地震の起きやすい時期というのが以前から指摘されており、『地震発生の季節選択性』と呼ばれます。今回のような日本海東縁地域の大地震は、初夏から夏に起きやすいんです。また、山陰地域では春と秋が多く、南海トラフでは冬に多いといわれています。メカニズムは複数提案されていますが、まだ明らかになっていません。今回の地震も1964年6月16日の新潟地震(M7.5)に発生日が近く、単に偶然と片付けにくいところです」(同)
また、遠田氏は「今回の規模に相当する地震は、ほぼ全国で起こり得る」とも指摘する。
「今回のようなM7弱程度の地震は、日本全国の8~9割くらいの地域で起きてしまう可能性があります。人口が密集している都市直下で発生すれば、局地的に建物の倒壊が人的被害につながる場合もあるでしょう。山間部では地滑りが起こります。同じ規模の地震であっても発生地域によって災害の起こり方が変わってくるため、それを踏まえた対策が必要でしょう。
首都圏の場合を考えると、震源が地下30~100キロくらいのやや深い地震が多いんですね。そのため、M6.7くらいでは地表に至るまでにそれだけ衰えるので、揺れる範囲は広がりますが、それほど強い揺れにはならないかもしれません。ただ、それでも人口密集地では複合的に災害につながる恐れがあるので注意が必要です」(同)
南海トラフ巨大地震の脅威
大きな地震が起きるたびに懸念されるのが南海トラフ巨大地震の発生だが、それはどう捉えるべきか。
「大地震が起きると、すぐに南海トラフ地震や首都直下地震が注目されますが、誤解を招きやすいとも言えます。確かに、今後何十年かの間に南海トラフ地震は起きるかもしれません。そして、南海トラフ地震や首都直下地震は、起きてしまえば経済的、人的な被害はとてつもないものになりますが、日本ではほかの地域でも多様なタイプの地震が高頻度で起きます。
重要性はわかりますが、南海トラフや首都圏ばかりに目が行くと、ほかの地域での防災がおろそかになってしまいます。それでも南海トラフが気になると思いますが、はっきり言えるのは、今回の地震が南海トラフに影響を与えることはないということです」(同)
世界に類を見ない地震大国に、私たちは住んでいる。それぞれの地域で行政が対策を立てていくのと同時に、それぞれの個人が備えをしておくことが必要だ。
(文=編集部)