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そして、「お願い」ができる国の機関は、「お願い事項」を所管している官公署となるところ、天皇が所管している事項については天皇に対する「お願い」も可能とされています。
ただし、前記のとおり、「天皇が所管している事項」は憲法に列挙された「国事行為」に限定されますので、例えば、「衆議院を解散してください」「〇〇大臣を罷免してください」「誰々に栄典(文化勲章等)を与えてください」といったものに限れられると思われますし、さらに、法律上、天皇に対する「お願い」は内閣に行うものと規定されていますので、直接、天皇に手交することは、法律違反となるとも解されます。
このように考えると、山本太郎議員の行動は、純粋に「(天皇陛下に)原発事故の被害を知ってもらいたかった」だけなのであれば、法律に違反することはありませんが、さらに一歩進んで、「(天皇陛下に)原発事故の被害を知ってもらい、何らかの行動に出て欲しかった」となれば、
(1)天皇が所管していない事項について、
(2)内閣ではなく、直接、天皇に請願した
点で、請願法に抵触するのではないかと思われます。
明治時代、栃木県の足尾銅山の鉱毒で苦しむ地元民の窮状を訴えるために、明治天皇に対し直訴しようと試みた田中正造という政治家がいましたが、もし山本議員がこれを倣って今回の行動に出ていたのだとしたら、時代も天皇の権能も憲法・法律も世論も違う中、やや思慮を欠く不見識な行動だったのではないかと思われます。
(文=山岸純/弁護士法人アヴァンセリーガルグループ・パートナー弁護士)
●弁護士法人アヴァンセリーガルグループ
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