ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 低家賃で東京・多摩エリア人気上昇
NEW

好アクセス・低家賃で東京・多摩エリア人気上昇、なかでも穴場は西武新宿線?

取材・文=文月/A4studio、協力=櫻井幸雄/住宅評論家
【この記事のキーワード】, ,
好アクセス・低家賃で東京・多摩エリア人気上昇、なかでも穴場は西武新宿線?の画像1
JR八王子駅(「Wikipedia」より/103momo

「できれば23区内に住みたいけど家賃が高すぎ」
「23区内の大きな街になると汚くて生理的に無理」
「治安が悪いところもあって不安」

 東京都の住まいを考えるとき、このような悩みを聞くことは多い。職場や学校が都心にある場合、たしかに東京23区内に住めば交通面的には便利だが、家賃の問題で現実的には難しいというケースは多いだろう。不動産サイト「SUUMO」の1K/1DKの家賃相場を見てみると、人気エリアは軒並み高め。たとえば新宿区が9.5万円、港区が11.0万円といったところだ。したがって安めに23区内に住むのであれば、江戸川区、葛飾区、足立区などの下町地域を検討する人も多くなってくるだろう。だが希望する条件がなかったり、個人的に気に入らない箇所を発見したりすると躊躇(ちゅうちょ)してしまうはず。

 そこでおすすめしたいのが、23区外で都内西側に位置する多摩エリアだ。30市町村からなる多摩エリアには自然が多く残り、都心までの交通アクセスも良好な地域が多く、ベッドタウンとして適した環境が整備されている。特に武蔵野市、三鷹市、立川市、八王子市の4自治体の駅は人気が高く、「住みたい街」「住みやすい街」といったランキングでは上位にランクインすることも珍しくない。前述のSUUMO相場を参照すると、武蔵野市が7.6万円、三鷹市が7.1万円、立川市が7.0万円となっており、とりわけ八王子市は5.2万円とリーズナブルである。

 武蔵野市や三鷹市など場所によっては23区よりも家賃が高めだが、商業施設が充実していたり、子育て支援が充実していたりと魅力はたっぷり。たとえ23区内に住めなかったとしても、多摩エリアで生活することは選択肢としては十分にアリだといえる。そこで本稿では住宅評論家・櫻井幸雄氏の解説のもと、多摩エリアで住まいを選ぶポイントや、おすすめ地域について考えていきたい。

武蔵野市、三鷹市の意外なデメリット

 多摩エリアへの居住を検討するうえで、まず確認しておくべきことが路線だ。現在、多摩エリアではJR、京王電鉄、西武電鉄、小田急電鉄の4社の路線が通っており、なかでも人気が高いのはJR中央線。JR高尾駅からJR東京駅までの30駅を結ぶ本路線は、2つの理由によって多くの都民から重宝されているという。

「1つ目は新宿駅、東京駅という二大拠点にアクセスしやすいこと。実は両駅に直通で行ける路線というのは中央線しか存在していません。一応、東京メトロ丸の内線も、新宿駅と東京駅を結びますが、23区外へは出ませんので、郊外から都心へと通うなら中央線はとても便利なのです。

 2つ目は学生向けアパートが多いこと。多摩エリアは大学の数が多い分、学生の数も多いです。そして、一度慣れ親しんだ路線から離れたくないという人も多いため、就職後も中央線沿線で生活しがち。そう考えると吉祥寺駅、三鷹駅、立川駅、八王子駅はすべて中央線の停車駅なので人気、という面があります」(櫻井氏)

 ちなみに新宿駅まで吉祥寺駅、三鷹駅からは10~15分ほど、立川駅からは25~30分、八王子駅からは35~40分ほど。基本はリモートワークで出社が週1、2日だけでよいという場合ならば、立川駅や八王子駅でも都心からの遠さはさほど気にならなそうだ。ただし月曜から金曜まで毎日都心部へ出社しなくてはいけない場合、吉祥寺駅や三鷹駅あたりまでが通勤・通学の負担が少なく通える範囲になるかもしれない。

「たしかに吉祥寺駅や三鷹駅は都心までの交通の便がよく、駅前に商業施設が集中しているので、買い物もしやすいというメリットがあり、他の多摩エリアに比べれば格段に暮らしやすいでしょう。しかし、どちらも駅から歩ける範囲の家賃相場が高いことは、デメリットとして覚えておくべきです。特に三鷹は駅の近くから一戸建て住宅地が広がってしまうので、なかなか条件に合うマンションやアパートが見つからないかもしれません。

 そのため、駅から徒歩圏内の物件はあきらめて、駅からバスに乗り継ぐエリアを検討する人もいると思いますが、バスは来る時間が一定ではなく混雑も激しいですし、終電で駅に着くとその時間にはもうバスの最終便は終わっています。また、せっかく吉祥寺駅や三鷹駅に住んだとしても、駅からさらにバスに乗るのであれば、立川市や八王子市の駅から徒歩圏内の物件に住むのと、通勤にかかる時間や労力は変わらないということにもなりかねません。こうした事情もあり吉祥寺駅、三鷹駅は住むエリアを慎重に選ばないと後悔することが多いんです」(同)

八王子駅はコスパ最高といえるワケ

 駅から徒歩で通える範囲、かつお手頃な賃料で住むとなると、やはり立川市、八王子市にある駅が現実的な選択肢として浮かび上がるのか。

「そうですね。ただし立川駅は再開発が進み、人気も上がっていますから、かなり高くなってきています。駅から北の立川飛行場や商業施設『ららぽーと立川立飛』がある場所までいくと、安い物件もあるのですが、バスや多摩モノレールで移動しないといけないので便利かといわれると少々微妙。そういった観点も踏まえて総合的に考えると、八王子駅は駅近くの物件もそこまで高くなっていないため、狙い目でしょう」(同)

 では八王子駅の特徴や魅力は何か。

「学生が多い地域でもあるので、平日の昼間でも食事できたり、買い物できたりする場所が多く、多摩エリアのなかでは街全体の活気がよいことも特徴です。そして路線の多さも八王子駅ならではのメリット。JRには横浜線が通っており、JR橋本駅で乗り換えることにより相模線を利用できるので、レジャーも楽しみやすい。またJRの八王子駅から徒歩5、6分の場所に京王八王子駅があり、京王線での移動も可能。京王八王子駅は始発終着駅なので座って新宿駅まで直通移動できるのはうれしいところです。ちなみにJR八王子駅と京王八王子駅の間には、商業施設や飲食店が立ち並んでいるので暮らしやすいと思います。

 また八王子駅の先には始発終着駅の高尾駅があるので、新宿駅、東京駅からの本数が多く、帰りの電車に困ることもありません。ただし夜になると、駅前以外は明かりが少なく、暗くなりやすいのであらかじめチェックしておくべきですね。ですが総合的に考えると、八王子駅周辺はコストパフォーマンスに優れたエリアといえるでしょう」(同)

意外と穴場な西武新宿線はおすすめ

 JR中央線では国分寺駅、武蔵小金井駅、武蔵境駅、京王線ならば調布駅、府中駅といった地域も人気だ。ただし櫻井氏いわく、中央線は軒並み家賃相場や分譲マンション価格が高く、京王線も徐々に値上がってきているそうだ。そこで密かに人気を集める路線を櫻井氏はおすすめしたいという。

「それは西武新宿線です。一部が中央線に平行して通る路線になっており、生活圏が中央線ユーザーとかなり似ています。にもかかわらず、中央線沿線の物件よりも家賃は大幅に安くなるんです。そのうえ西武新宿駅まで直通で移動できるので実はかなり穴場。唯一の欠点は、西武新宿駅がJR新宿駅まで徒歩5分ぐらいの場所にあるため乗り換えが面倒なことでしょう」(同)

 西武新宿線は、多摩エリアだと東村山駅から東伏見駅の7駅までと候補駅は少ないものの、中央線や京王線と比べると家賃相場は低めだという。西武新宿駅までの乗車時間は、東村山駅からは30分ほど、東伏見駅からは急行乗り換えで20分ほど。中央線や京王線で納得いく物件が見つからなかった場合は、西武新宿線を視野に入れてみてもよいだろう。

 多摩エリアは、人気エリアから意外と知られていないお得なエリアまでさまざまだ。多摩エリアならば、自分のライフスタイルと希望の家賃感に合う物件が見つかるかもしれない。

(取材・文=文月/A4studio、協力=櫻井幸雄/住宅評論家)

櫻井幸雄/住宅評論家

櫻井幸雄/住宅評論家

全国の住宅事情に精通し、現場取材に裏打ちされた正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞で連載コラムを持ち、Yahoo!ニュース「個人」でも住宅コラムを連載中。テレビ出演も多い。「買って得する都心の1LDK」など著書多数。近著は、「櫻井幸雄の人生スマイル相談室」(法研)。
住宅評論家・櫻井幸雄のオフィシャルウェブサイト

好アクセス・低家賃で東京・多摩エリア人気上昇、なかでも穴場は西武新宿線?のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!