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打ち合わせ、役割分担、そして本番…自殺系サイトの実態

連鎖するネット心中、なぜ“救う側”のキヨシが自殺に至ったのか?

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「1人で死ぬというのは思い付かなかったんです。『寂しい』というのでもないです。練炭は楽に逝けるというイメージですねよ。それしか思い付かなかった。最後は楽に死にたいですから。でも、用意するものがわからなかったし、用意するにしてもお金がないですから。報道の影響もあります。普段なら思い付きませんから」

 自殺願望を抱いたのはこのときが初めてだった。自殺系サイトに、心中相手を募集する書き込みをした。すぐにメールの反応があった。しかし、なかなかタイミングや波長が合う人には会えない。「迷っている」と告げると、キヨシだけを排除し、実行に移したグループまであった。

 そんな中で、大阪府内の女子高生(17)と出会うことになる。大阪まで会いに行って、話を聞いたりもした。「家庭に居場所がない」という話を聞き、共感してしまう、逆に、その後は、「彼女はまだ死ぬべきではない」と思うようになり、女子高生の自殺を止めようとする気持ちが働いた。

●一緒に死ぬ相手を探し続ける

 しかし、その女子高生はキヨシと会った後も、一緒に死ぬ相手を探していた。03年9月、関東在住の20代男性と会う約束をしたという。

「東京に行って、北に向かいます」

 キヨシにメールが届く。キヨシはそのネット心中を止めようと、場所を聞き出そうとした。「僕も仲間に入れてくれ」とメールをしたが、返事がこない。感づかれたのかもしれない。しばらくすると、「一度、家に帰りました」とのメールが届いた。

 本当に帰ったのかどうか心配だったキヨシは、どうにかして女子高生の自宅か、学校を突き止めようとした。その時、筆者に相談があり、2人で会ったときは制服だったことを思い出した。出会った場所周辺の学校のホームページを見て、制服がどこの学校かが判明した。学校に連絡すると、行方不明になっていたことがわかった。両親に会うことも許された。

「計画は中止になりました。山梨県でさまよっています」

 そんなとき、女子高生からメールが届く。女子高生の部屋を見せてもらうと、樹海の地図があった。キヨシは「樹海にいるかもしれない」と思ったため、山梨県富士吉田署に通報をする。両親は山梨県に向かった。

「河口湖駅に戻りな」

 キヨシは再び、メールをした。女子高生からは、

「どうして場所がわかったの?」

と返ってきた。これで助けられると思ったが、その後、メールが途絶えた。女子高生がどこにいるのか、手がかりがなくなった。

●死の直前までメル友と普通の会話

 翌朝、福島県警から両親に電話があった。女子高生が遺体で発見されたという。スキー場で、20代の男性と練炭自殺をしていた。携帯電話などの遺留品から身元がわかった。自殺直前は、ファミレスで食事をしていたことがレシートの記録でわかった。また、ほかのメル友と普通の会話をしていた。

「『東京に行きます』以降は全部ウソだった。相手の男性の指示かもしれません。僕のことを警戒していたんだと思う。でも、それまでは彼女も正直にいろんなことを話をしてくれた。ネット心中が淡々と進めば、こうなるんだろうな。ただ、もうちょっと早く両親に会えれば、違った結果になったかもしれない」

 この止められなかったネット心中以降も、キヨシは自殺系サイトに書き込みをしている人に出会って、ネット心中を止めることを繰り返していた。キヨシ自身は、うつ病を患っているために、精神科に通院していた。一方、そんな状態で実家に帰るのは気が引けていたために、更生施設に入所し、生活保護を受けていた。精神疾患を治し、生活を建て直すことを考えていた。

BusinessJournal編集部

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