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計画が明らかになってしまった以上、いったん仕切り直して渡航を延期したり、トルコでの難民取材のみに計画を変更して出国するなどの道もあったのではないか。その後のことは、トルコに行ってから改めて情報を収集し、慎重に再考する。現地で取材プランが変わることは、まったく珍しくないのだから。正攻法で権利の主張をするのもいいが、時と場合によっては、当局との柔軟な駆け引きや知恵比べも必要だろう。
それはともかく、パスポートを剥奪されれば、危険地域だけでなく、他の国に渡航することもできなくなる。長期にわたってこの状態を続けるのは、憲法が保障する「移住の自由」の侵害になろう。外務省は、今回のシリア渡航を中止させる目的は達したのだから、できるだけ速やかにパスポートを返還すべきだ。そして、今回の対応は、異常事態の中で起きた例外であることを確認し、今後の対応の前例にしたりしないよう、ここは特大の釘を刺しておきたい。
(文=江川紹子/ジャーナリスト)
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