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損害賠償を計算するポイント
では、どれくらいの金額を請求することが法的に妥当なのか。
「一般的な減額または賠償金額の相場としては、エアコンの使用に支障が出ていた限度になると考えられます。たとえば、Aさんの家賃が月額9万円とします。そして、このうちエアコンの使用に支障が出ていた割合を計算します。
本件ではエアコンが完全に使用できなかったわけではありませんし、また、裁判例上、エアコン等の備品が使用できなかった場合の相場は確定しておりません。そのため、割合の算定は困難な側面もありますが、本件では目的物の10%が使用できなかったと仮定します。そうすると、Aさんは月額9万円のうち9000円分を使用できなかったことになります。
そしてAさんは、1カ月のうち20日間エアコンを適切に使用できませんでした。そのため、1カ月が30日ある月であれば『9000円÷30日(1カ月の日数)×20日(エアコンの使用に支障が出ていた日数)』の計算により、Aさんは6000円分の賠償を求めることができると考えられます。
なお本件では、エアコンの音は非常にうるさく、Aさんは精神的ダメージを受けています。そのため、法律上、慰謝料を請求できる余地はありますが、精神的ダメージの算定は困難であり、損害として認められるかは微妙なところです」(同)
相場が不確定な部分はあれど、Aさんの訴えは敷金・礼金とは違った観点で認められそうだ。
賃貸物件暮らしに悩みを抱えている方は一度、自らの置かれた状況を冷静に整理してみるといいのではないだろうか。不快に過ごしてしまった時間は取り戻せなくても、賠償を得るための手立ては残されているかもしれない。
(文=森井隆二郎/A4studio、協力=渡部貴之/弁護士法人ALG&Associates)
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