マンション・戸建て購入は、賃貸より総負担額が安かった!「持ち家は負債」の嘘
あるいは前回の本連載で書いたとおり、最初から賃貸併用住宅を建てることで回避可能です。筆者も同じ発想で最初に買った自宅マンションは現在賃貸に出して家賃収入を得ていますし、賃貸併用住宅も建てました。
家族構成の変化に対応できないという意見もありますが、これはリフォームである程度対応可能です。あくまでも自分の返済能力で無理のない範囲内で、という条件つきですが、マンションならLDKが広めの物件を選ぶことで、リフォームで子供部屋を増やすことができます。そしてまた夫婦2人になれば、壁を取り壊して広いリビングにしたり、戸建てであれば場所にもよりますが子供部屋を賃貸仕様にリフォームして貸し出し、家賃収入を得ることも可能です。これらは賃貸ではなかなかできないことでしょう。家族構成が変わるたびに引っ越すのも面倒ですし。
このように、家を持つにはクリエイティブな方法がたくさんあり、知恵と工夫と想像力を働かせれば、リスクを軽減あるいは回避することも可能なのです。つまり「持ち家は資産」「持ち家は負債」「賃貸は無駄」「賃貸が安全」という短絡的な発想は、ほかの選択肢から目をつむりたいだけで、思考停止しているということです。
ただし、そもそも家とは理想的な人生を送るためのひとつの道具にすぎません。家を買うことが目的ではなく、買わないことが目的でもない。そこに住むことによって、何を得たいのか。あるいは何を得るために、その場所のその住まいを選ぶのか。
それに「損得」といっても、お金の面だけでなく、本人の生き方や置かれている状況、価値観などによって評価軸は変わります。お金に代えられない価値だってあるでしょう。通勤や通学に便利とか、静かで自然が多いとか、子育てに適した住環境とか、「トクした」「満足だ」と感じる条件は人によって違うということ。だからまずは、自分と自分の家族が理想とする生き方を設定し、その実現にはどういう住まい選びが必要かを考えることです。
(文=午堂登紀雄/米国公認会計士、エデュビジョン代表取締役)