認知症の親に遺言書かせ遺産独占&きょうだい排除が横行!手助けする弁護士・司法書士が続出
一部の弁護士や司法書士が、この過払い金請求をめぐって多重債務者の代理を流れ作業で請け負い、多額のピンハネや不当な高額手数料で懲戒処分を受けましたが、いよいよこのシノギも10年の時効で終焉を迎えることになったのです。
さて、次なる「儲けのタネ」はなんなのでしょうか。
ズバリ、「家族信託」「後見人」「公正証書遺言」がらみでの「相続」「争族」業務といわれています。
相続を「争続」にする事例続発
15年9月時点で、65歳以上高齢者は約3400万人です(人口比26.7%)。4人に1人が高齢者で、この比率は今後さらに上昇し、20年には29.1%、30年に31.6%、40年には36.1%と国民の3人に1人が65歳以上高齢者になります。ものすごい数の高齢者数なのですが、ちなみに40年の人口は今より約2000万人減ってほぼ1億700万人になっています。
ちなみに現在の平均寿命は男性80歳、女性87歳なので、この年齢になった人の半分の人が生存しています。ただし、平均健康寿命は男性71歳、女性74歳なので、この年齢を超えた人の半分の人は、身体の諸器官に不具合が生じ、歩行に困難をきたしたり、認知症や寝たきりなどになります。平均寿命までに男性で9年、女性で13年の「不健康期間」があるともいえるでしょう。
そうなると介護の問題が出てくるわけですが、自分の親の囲い込みを行って相続する財産を独り占めしようとしている人に接近営業する、「遺産独り占めのお手伝い業」が増えています。ここ数年、「被相続人の死亡後も相続人が揉めないように」というキャッチフレーズで、「家族信託」を売り込む司法書士や弁護士が増えています。
ところが、そのなかにはわざわざ認知症にかかり始めた高齢者に対し公正証書遺言をデッチあげる作業のお手伝いをするケースもあり、「むしろ相続を争いにするビジネス」との批判も数多くなされています。
いいかげんな公証人と法律専門職との馴れ合い
そもそも公正証書遺言をつくるというのは、かえって揉め事を起こす可能性を秘めています。現行では、誰か特定の相続人の法定遺留分まで侵害するような公正証書遺言がつくられているのですから、そのことを裁判で訴える「排除された相続人」も大勢いるのです。
たとえば長男が、ひとり残された認知症の親を自宅介護している場合、親の預金から金を引き出し自分で使っていても、親の公正証書遺言には「次男には○○万円生前贈与したから、自分の遺産は長男と三男にこういう配分で譲る」といった内容を「読み聞かせ式」でつくらせるといった事例がよくあるのです。