第3次安倍再改造内閣がスタートした。2012年の第2次安倍内閣発足以来、総理は「重点課題は経済だ」と主張し、アベノミクスの成果を強調してきたが、実感はどうだろうか。
厚生労働省が発表した「平成27年 国民生活基礎調査の結果」によると、1世帯当たりの平均所得金額は541万9000円と、前回(528万9000円)より増加。ただし、児童のいる世帯の4割近くは、この平均所得金額に届いていない。
なお、児童がいる家庭に生活意識を聞いたところ、「大変苦しい」「やや苦しい」の合計が63.5%を占める。年金生活をしているはずの高齢者層が同様の回答をした数字(58%)よりも多いとは、働き盛りであっても「ゆとりが出てきた」気分にはなれていないようだ。
この生活が「苦しい」場合、少しでも家計に余裕を持たせる手段は2つだ。ひとつは、給料やボーナスが増えること。ただし、これは自分マターではできないことでもある。
もうひとつは、支出を削ること。家計の支出のうち削れるお金を探し、節約をする。多くの場合、まず標的になるのがレジャーや娯楽にかけるお金、そして夫の小遣いだ。
世の中の奥様は、「うちは夫の小遣いが少ないので、もっと増やしてあげたいんです」とは、口が裂けても言わない。筆者も、これまで多くの家計を見てきたが、一度だけ、びっくりするほど少ない小遣い額に遭遇した時は(月5000円だった……)、家計より家庭そのものが心配になったものだ。
そもそも、生活が苦しいのにレジャー費や夫の小遣いを一気に削っては、生活の潤いが消え、家庭の空気が悪くなり、ますます苦しくなるばかりではないだろうか。
固定費削減に「現状維持バイアス」の壁
では、支出はどう減らせばいいのか。こういう場合、ファイナンシャルプランナーによる家計診断の指針は決まっている。「毎月変動するお金より、固定でかかるお金から見直す」というのがセオリーだ。
食費やレジャー費よりも、保険料や通信費、習い事などの支出を見直すべき。一度見直すと減額効果がずっと続くので、節約できるお金が大きいからという理屈だ。もちろん、それには異論はない。それがいいに決まっている。
しかし、そこには落とし穴がある。人間は、一度習慣化したことを止めるのには、大きな心理的ハードルを感じるということだ。
一番わかりやすいのが、今勤めている会社だ。上司は無理難題を押しつけてくるし、そのわりに評価は上がらない、給料も安い。「いっそ、転職するか……」というところまでは誰もが至るのだが、では実行するかといえば、なかなかできない。
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