変動金利型よりはるかに低い金利で固定型
でも、そんなことで驚いていてはいけません。この10月から、住宅金融支援機構が「フラット35 リノベ」という新商品の扱いをスタートさせるのです。
これは、一定条件を満たす性能向上のためのリフォームが行われた中古住宅を取得する場合、または取得後に性能向上のためのリフォームを行う場合、当初5年間または10年間の金利を0.6%引き下げるというものです。2016年9月現在、フラット35の金利は返済期間20年以下で0.96%、返済期間21年~35年で1.02%ですから、当初の金利はそれぞれ0.36%、0.42%になります。
35年返済の平均金利は0.85%になる
ちなみに、20年間、35年間の平均金利を計算すると、20年返済で当初10年が0.36%、残り10年が0.96%なら20年間の平均は0.66%。35年返済で当初10年が0.42%、残り25年が1.02%なら平均0.85%になります。
メガバンクの変動金利型の金利は0.625%ですから、当初はそれよりはるかに低い金利で全期間固定金利の住宅ローンを利用できます。平均すれば、現在の変動金利型の金利よりは若干高いのですが、35年の間には金利が大幅に上がる局面も出てくるはずで、変動金利型の35年間の平均がこんなに低い水準ですむはずはないでしょう。
中古、リフォーム市場活性化を目指して
かつて、住宅ローン金利は1年で2%、2年で3%上がったこともあります。そこまで極端な上昇はないにしても、20年、30年の間には必ず金利が上昇、結果的に30年間の平均は2%台、3%台となることも十分にあり得るのではないでしょうか。
そう考えれば、この「フラット35 リノベ」の金利がいかにおいしいものであるかを実感していただけるのではないでしょうか。それもこれも、国の予算を投入するからこそできる金利です。現在、国は中古住宅やリフォーム市場の活性化に全力を注いでいます。しかし、いろんな施策な展開しても、いまひとつ目に見える成果が上っていません。
それならば、ということで、国の予算を使って金利を引き下げようということになったわけです。民間金融機関ではとてもじゃありませんが、こんな離れ業はできません。
通常のフラット35より168万円もトク
では、実際にどれくらい効果があるのでしょうか。図表3をご覧ください。
借入額3000万円の場合、通常のフラット35だと毎月返済額は8万5000円ほどになり、35年間の総返済額は約3569万円です。それが、「フラット35 リノベ」なら、当初10年間は毎月7万7000円ほどに減って、総返済額も約3401万円に減少します。35年間の総額で比較すると、なんと168万円も負担が軽くなる計算です。