この民間ローンでは団信への加入が義務である半面、保険料は金利のなかに含まれ、利用者は別途保険料を負担する必要がないというメリットがあります。
それに対して、フラット35では、健康上の理由その他の事情で団信に加入されない方でもフラット35の利用は可能ですが、その場合には、金利負担とは別に保険料を毎年支払わなければなりません。
これが、結構大きいのです。借入額3000万円、返済期間35年、元利均等、借入金利1.12%、機構団信に1人で可能する場合、1年目は約10.7万円で、2年目は10.6万円、3年目10.3万円、4年目10.0万円とローン残高の減少に応じて保険料は減っていくものの、35年間の総支払額は約204万円に達します。
うっかり支払いを忘れると無保険状態に
ですから、利用者は毎月のローン支払いとは別に、この団信保険料の引き落としを念頭に入れて口座を管理する必要があります。うっかりこの支払いを忘れて残高不足などで口座引き落としができないと、場合によっては無保険状態になって、万一のことがあっても保険金が下りないといったトラブルが発生しかねません。
こうした不便さやリスクを解消するため、住宅金融支援機構では10月1日申し込み分から、フラット35の団信を民間ローンと同様に金利に含めて、毎月返済額のなかに保険料を含めて引き落とす仕組みに移行することになりました。これによって、別途引き落としの必要がなくなるので、利用者の利便性が格段に向上します。
しかも、実質的な負担額が軽減されます。図表2をご覧ください。これは、借入額3000万円、35年元利均等、ボーナス返済なし、機構団信に1人で加入する場合の例ですが、今年9月末までの現行制度で申し込んだ場合、金利は1.12%で、毎月返済額は8万6373円ですから、35年間の総返済額は約3628万円です。
それに先に触れたように、毎年団信保険料の支払いがあります。1年目は約10.7万円で、35年間の総額は約204万円ですから、毎月返済額と団信保険料を合わせた35年間の総支払額は約3832万円になります。
毎月返済は増えても総支払額ではトクできる
それに対して、10月1日以降の新制度では、団信保険料が金利に含まれるため金利が少し上がります(ここでは試算のための仮の数値として、1.12%から1.40%になるとしています)。1.12%なら毎月8万円台の返済額が、1.40%だと9万392円に増えます。35年間の総返済額は約3797万円になる計算です。