あなたの老後資金不足を招く「意外な」毎月の支出とは? 便利で節約のはずが逆効果
意外に支出額が増えがちなサブスクリプションサービス
キャッシュフロー表の95歳時貯蓄残高が多額のマイナス予想と知ると、多くの相談者が自ら挙げる対策で多いのは、食料費、外食代、飲み代などの削減だが、生活スタイルの変化を伴い、また継続的に行う必要があるため、実は難度が高い。まず手をつけるべきなのは、1回見直す、あるいはやめてしまえば効果が継続的に持続するもの、代表的なのは生命・損害保険料と通信費である。そして、このところ意外に多く支出している相談者が増えている「サブスクリプションサービス」だ。
サブスクリプションサービスとは、提供されるサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う方式のサービスをいい、多くの場合、定額制と同じ意味で用いられている。代表的なものに音楽や動画などのコンテンツ配信サービスがあるが、さまざまな分野のサービスにこの方式が広がっている。代表的なサービスを以下に挙げてみよう。
【音楽】
Amazon Music Unlimited、Apple Music、AWA、Google Play Music、KK BOX、Spotify
【映像(ドラマ・映画・アニメなど)】
Hulu、Netflix、U-NEXT
【雑誌】
dマガジン、Kindle Unlimited、タブホ、楽天マガジン
【ファッション(服・アクセサリーなど)】
airCloset、leeap、MECHAKARI、SparkleBox
【オンライン英会話】
Langrich、Best Teacher、NativeCamp
以前からあるサービスでは、例えばスカパー!やJ:COMなどの有料チャンネルや、スポーツクラブの会員などもサブスクリプションサービスといえるだろう。
こうしたサービスは上手に使えばむしろ節約になるものもあり、否定するつもりはまったくない。私は月3~4冊ほどの雑誌を購入していたので、月432円の雑誌読み放題サービスを使い節約になっている。問題なのは、加入したもののそれほど利用するわけでもなく、一つひとつの金額は高くないので、なんとなくそのままにし、いつの間にか結構な金額を毎月払っている、という状態に陥ることだ。毎月の数千円・数万円の支出が将来の老後資金を大きく削ってしまうことを意識し、サブスクリプションサービスの加入前には単発利用との比較、加入後は利用頻度などに応じたサービスの見直しや解約を、しっかり行ってほしい。
(文=平野雅章/横浜FP事務所代表、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士)