投資の知識乏しい人でも確実に資産形成できる「つみたてNISA」…こまめな売買不要
つみたてNISAがひっそりとスタート
4年前に鳴り物入りでデビューし、全国で1100万口座を獲得しているのがNISA、少額投資非課税制度です。これは年120万円までの範囲で投資を行うと、その運用益について非課税ですむというものです。通常は利益に20%課税ですから、投資で10万円儲けても、売って現金化すると2万円を税金で引かれる、ということです。これがもし非課税ですむとすれば大きなメリットです。
しかし、NISA口座はひとり1口座しか開設できないことから金融機関の獲得合戦が繰り広げられ、結果として残高ゼロ口座が60%以上を占めるという有様になってしまいました。また、53%は60代以上の年金生活者世代となっており、現役世代が投資を自分の資産形成の力に代える仕組みとして機能していないことが問題でした。
そこで2018年1月からスタートしたのが「つみたてNISA」です。こちらは年40万円までの範囲で定期的な積立投資をすることで、運用益が非課税となるものです(通常のNISAは非課税枠は年120万円)。非課税投資期間は通常のNISAが5年目の年末までのところ、つみたてNISAは20年と長期化しています。
また、つみたてNISAは投資対象商品について厳しい規制を設けたため、140本程度のラインナップに厳選されることになりました。いずれも投資未経験か投資経験の浅い現役世代の資産形成の枠組みとして使われることを想定した取り組みです。
ところが、予想値ではたった25万口座からのスタートとなったとも見られています(1月12日付日本経済新聞より)。なぜ、ここまでひっそりとしたスタートになってしまったのかを考えると、「お金のトリセツ」の新しいルールが見えてきます。
金融機関にとってつみたてNISAは「うまみのない」商品
つみたてNISAの口座が少ない理由としては、「すでにNISA口座を持っている人は、つみたてNISAを開設できない(変更すれば可)」こと、あるいは「NISAの非課税投資枠が120万円から40万円へと3分の1になった」こと、あるいは「個別株の投資ができない」ことなどが指摘されていますが、本当のところはもっと直接的な理由があるようです。
それは「売り手にとって儲けの少ない、『うまみのない』商品」だからです。