今年の春の賃上げでは、安倍内閣が3%の賃上げを産業界に求め、大手企業を中心にそれに呼応する動きが出ています。4月25日の日本経済団体連合会の発表によると、大手企業の妥結状況は図表1のようになっています。総平均では月額8621円の妥結額で、前年に比べてのアップ率は2.54%です。政府が進めてきた3%には届きませんが、前年の2.42%からすれば、多少なりとも上昇率は高まっています。
ボーナスと合わせると年間20万円以上の増加も
産業別にみると、製造業は8302円ですが、非製造業は9736円と1万円に近い水準に達しています。全産業平均の8621円として年間にすれば10万3452円ですから、けっこう大きな金額です。
それに、賃金が上がればボーナス分も増えます。最近の企業の対応としては、一度上げると簡単には下げられない給与よりは、比較的柔軟に対応できるボーナスで調整しようとする傾向があります。ですから、毎月の給与とボーナスを合わせた年収レベルでみると20万円以上のアップという人が少なくないはずです。
賢い人は賃上げ分を住宅ローンの増額に回す
せっかくこれだけ収入が増えるのであれば、なんとか賢く運用したいものですが、現在のような超低金利時代、確実に増やすのは簡単ではありません。
そこで、注目しておきたいのが住宅ローンの返済額増額による期間の短縮です。住宅ローンの返済を行っている人なら、一部繰上げ返済によって総返済額を減らしてトクできることはご存知でしょう。それには繰上げ返済するだけのまとまったお金が必要ですが、諸般の事情で繰上げ返済に回せるほどの手元資金はないものの、賃上げで毎月の家計には多少なりともゆとりが出てきたという人もいるはずです。
そんな人なら、ぜひ返済額増額を試してください。それによって本来、完済までに支払わなければならない金額を大幅にカットできるのです。しかも、完済までの期間を短縮できるという安心感も大きなメリットです。ですから、毎年春を迎えるたびに返済額増額で期間を短縮しているという賢い人もいます。
約4000円の増額で総返済額約34万円カット!
どういう仕組みになっているのか、返済額増額について説明しましょう。3年前に借入額3000万円を金利2%、35年元利均等・ボーナス返済なしで利用しているケースでみてみましょう。