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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

多額の株主優待、確定申告しないと「脱税」になってしまう!

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士

株を保有している場合の株主優待に税金はかかるのか?

(5)株主優待には税金がかかります。ただ、多くの人が株主優待に関して確定申告をして税金を納める、ということはしていないと思います。「申告しなくても大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、多くの方が株主優待について税金を納めていなくても問題とならないのには理由があります。

 一般的な会社員で確定申告が必要となるのは、「給与の支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える人」とされています。つまり、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下であれば確定申告が必要ない、ということです。確定申告が不要とされているのは、このような少額な所得についてまでも確定申告をして税金を納めなければならないとすると、確定申告をする側も税務署側も事務処理がかなり煩雑となるためです。

 年間で受け取る株主優待が20万円を超えなければ確定申告は不要となり、税金を納める必要もないということになります。株主優待には税金がかからない、のではなく、少額なので税金がかかっていないという理解が正しいと思います。

 ここであえて、株主優待に税金がかかるケースを考えてみます。仮に、年間の株主優待(たとえば商品のチケットなど)の合計金額が30万円だったら、税金はどうなるのでしょうか。

 株主優待の所得は「雑所得」に区分されます。そのため、雑所得の計算式に当てはめると、

・雑所得 = 総収入 - 必要経費
     = 30万円 - 0円(※株主優待を得るためにかかる経費は0円と仮定)
     = 30万円

 雑所得は30万円となります。仮に税率が30%(所得税率20%+住民税率10%)となる会社員の場合、雑所得にかかる税金が9万円(30万円×30%)にもなることになります。確定申告は、確定申告書に給与所得と雑所得に関する事項を記載し、会社から交付される源泉徴収票を添えて税務署へ提出する必要があります。

というわけで(3)(4)(5)は、いずれも「税金がかかる」が答えでした。

亮子「芸人さんが競い合う番組での賞金にも、税金がかかるのね」

啓子「はい。なので、賞金全額をあてにしていると危険ですよね」

亮子「株主優待にも原則的に税金がかかるんだよね」

啓子「そうですね。ほとんどの方が申告を必要とするほどの株主優待を得ていないでしょうけれど、株主優待生活をしている方は注意が必要です。お金を得たり、お金が増えたりしたら、何かしら税金がかかる、と考えて調べてみると良いと思います」
(文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士)

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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