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平林亮子と徳光啓子の「女性公認会計士コンビが教える、今さら聞けない身近な税金の話」

自宅売却時の税金、1千万円超を0円にする方法…売却時期を少し遅らせるだけで数百万円の差

文=平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表、徳光啓子/公認会計士

 さきほど計算した所得3000万円に、それぞれの税率を掛けて税金を計算します。

(1)所有期間が5年以下の場合
所得 3000万円×税率39%=税金 1170万円

(2)所有期間が5年超の場合
所得 3000万円×税率20%=税金 600万円

(1)と(2)の税金を比較すると、所有期間が短期となる(1)のほうの税金が570万円も多くなります。売却のタイミングによっては節税できるか、という質問の答えがこれ。所有期間が5年以下か5年超かで税金が大きく異なるため、少し売却時期を遅らせることで、節税できる可能性があるのです。

 なお、所有期間は譲渡した年の1月1日時点を基準に5年を超える不動産かどうかを判断しますので注意が必要です。自宅購入から売却時点まで所有期間が5年を超えていても、その年の1月1日時点では5年以下であれば短期譲渡所得となりますので注意しましょう。

自宅売却時の税金、1千万円超を0円にする方法…売却時期を少し遅らせるだけで数百万円の差の画像3

マイホームの売却時は控除が使えないか要チェック

 さきほどの例では、不動産を売却すると所有期間によって1170万円(短期)または600万円(長期)の税金がかかってしまいました。しかしながら、新しいマイホームへ住み替えて、前のマイホームを売却するたびにこのような高額な税金がかかってしまったら、いくらお金があっても足りません。そこでマイホームを売って売却益が出たときは、税金が安くなる特例が用意されています。

(1)3000万円の特別控除の特例

 売却益から特別に最大3000万円を差し引くことができる制度があります。不動産を売却して売却益が3000万円となれば、さきほどの例ですと最大1170万円の税金がかかりましたが、この特例を使うことができれば売却益から3000万円を差し引くことができるので、所得は0円となり税金がかからないことになります。

 売却益 3000万円 - 特別控除3000万円=所得0円

 ただし、この特例を使うためには次の条件を満たす必要があります。

・自分が住んでいた自宅であること(所有期間は短期でも問題ありません)
・配偶者や子どもなどの親族への売却ではないこと
・売却した前年と前々年にこの特例を適用していないこと

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

平林亮子/公認会計士、アールパートナーズ代表

1975年千葉県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部地理学科出身。
企業やプロジェクトのたち上げから経営全般に至るまで、あらゆる面から経営者をサポートしている。
また、女性プロフェッショナルに関するプロジェクト「SophiaNet」プロデューサーを務めるなど、経営サポートに必要な幅広いネットワークを持つ。
さらに、中央大学商学部客員講師として大学で教壇に立つなど、学校、ビジネススクール、各種セミナーなどで講義、講演も積極的に行っている。
『決算書を楽しもう!』 『「1年続ける」勉強法―どんな試験も無理なく合格!』(共にダイヤモンド社)、『相続はおそろしい (幻冬舎新書)』(幻冬舎新書)、『1日15分! 会計最速勉強法』(フォレスト出版)、『競わない生き方』 (ワニブックスPLUS新書)、『5人の女神があなたを救う! ゼロから会社をつくる方法』(税務経理協会)など、著書多数。
合同会社アールパートナーズ

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