格安プランでシェアを伸ばしていた楽天モバイルが、これまでの「月1GBまで0円」というプランを廃止することを5月に発表。それに伴い、7月1日から新たな有料化プランに移行することが明らかにされた。
これを機に他の携帯キャリア会社が楽天モバイルからの乗り換えユーザー獲得を狙っているわけだが、いまや基本料金の差だけではなく、さまざまな付帯サービスや各QRコード決済との親和性なども、ユーザーがキャリアを選ぶ基準となってきている。
そこで、今回は改めて携帯キャリアとそれぞれが提供するQRコード決済がどれほど便利でお得なのかなどについて探りつつ、各サービスのメリットを紹介していきたい。
1位:ソフトバンク
QRコード決済のトップに君臨するPayPayは、ソフトバンクやワイモバイルのユーザーであれば、かなりの優遇サービスが受けられる。
まず、ソフトバンク回線契約者は、ユーザー限定のクーポンが毎月配布される(ワイモバイルユーザーは含まれない)。ソフトバンク以外のPayPayユーザーにもクーポンは配布されるが、限定クーポンはそれとは比べものにならないお得さとなっている。
例えば6月度は、スギ薬局やローソン、ミスタードーナツで使える最大50%還元クーポンや、マルエツで使える20%還元クーポンなどが配布された。以前よりもQRコード決済によるポイント還元率が渋くなってきている現在、コツコツと数%のお得を積み上げるよりも、このような破格のクーポンで得られるボーナスは大きい。
また、ソフトバンクとワイモバイルのユーザーは「Yahoo!プレミアム」が追加料金なしで利用できる(通常は月額税込508円)。PayPayではプレミアム会員向けにも限定クーポンを配布しており、松屋、ドトールなどで最大5%の還元など使いやすいクーポンが満載だ。さらに、プレミアム会員であればYahoo!ショッピングやPayPayモールで毎日2%の還元がされ、Yahoo!トラベルでも5%還元などが行われるのでPayPay払いでなくてもお得な権利が得られる。
ちなみに、プレミアム会員になることは、独自の還元率アップシステム「PayPayステップ」の条件のひとつであるため、これを手間なく達成できるのもキャリアユーザーの強みだ。
このようにPayPayにおいて、ソフトバンクとワイモバイルのユーザーであれば享受できるメリットは多彩かつお得。むしろ連携していないと損といえるレベルだ。
2位:NTTドコモ
NTTドコモが運営しているd払いでは、先日からドコモユーザー限定のポイントアップキャンペーン「d払いステップボーナス」が開始された。これは、前月のd払いの決済回数に応じて今月の還元率が決まるというもの。200円以上の決済を1~4回で0.1%、そこから徐々に上がっていき、80回以上の決済で最大1.5%の還元率となる。これにより、基本還元率0.5%と紐づけているdカードによる還元1%を合算すれば、毎月最大3%の還元が狙えるというわけだ。
また、d払いにはクレジットカードが登録できるが、dカード以外ではポイントの還元が受けられない。そのため、d払いの決済ではdカードの登録が最も望ましいのだが、dカードの発行でメリットが大きいのはドコモユーザーだ。
特に「dカードGOLD」はドコモユーザーなら親和性が高い。dカードGOLDでは対象のドコモ通信料や「ドコモでんき Green」の料金の10%が還元される。年会費は1万1000円だが、この還元だけでほぼ元が取れてしまうのだ。このdカードGOLDをd払いに登録すれば、前述のように1%還元が受けられる。
ポイントアップの条件に、ある程度ハードルはあるが、d払いはドコモユーザーに有利であることは確実だ。
3位:au
auが運営するauPAYも、ドコモと同様にクレジットカードによるメリットがある。auPAYカードからのチャージ(1%)、auPAYの決済(0.5%)で1.5%還元となるが、auPAYゴールドカードを使うとチャージの時点で1%が追加される。つまり、auPAYゴールドカードを登録すれば、合計還元率が2.5%還元となるのだ。
このauPAYゴールドカードでは、au携帯電話利用料の10%が還元され、さらに通常ポイント(1%)と合わせて11%が還元される。年会費は1万1000円だが、こちらもdカードゴールド同様に比較的簡単に元が取れるだろう。これだけでもauユーザーがauPAYを利用する価値は高いのだが、基本となる還元率アップの制度がない点では、キャリアユーザーとの親和性は低いといえる。
ちなみに、現在ならauPAYカードの新規入会&利用特典として、カードからのチャージが5%還元となり、auPAY決済での還元率が5.5%(ゴールドカードなら6.5%)となるので、このキャンペーン中なら破格のボーナスとなる。
auユーザー以外と比較してもauPAYでは直接的なメリットは少ない。ただ、auPAYゴールドカードを利用するならば、auユーザーは若干分があるだろう。
4位:楽天モバイル
楽天ペイの還元率は、楽天カードからのチャージ分と決済分を含め1.5%となる。そのため、楽天ペイでは楽天カードを登録することがなかばデフォルトといえる。
楽天カードは楽天モバイルがスタートする以前から多くの人に使われているが、楽天モバイルユーザーであれば若干のメリットがある。それは楽天市場で買い物をしたときにもらえるポイントがプラス1倍になることだ。
また、6月30日までは楽天モバイル申し込みとRakuten Linkアプリの利用で楽天ペイの支払額を20%還元するキャンペーンを実施中。ただ、こちらは「毎月開催」と銘打たれているので、今後も楽天モバイルと楽天ペイで関連したキャンペーンがあると思われる。
楽天モバイルと楽天ペイの直接的なメリットは少ないが、モバイルの料金システム変更により、親和性の高いキャンペーンは今後さらに加速していくと思われる。また、楽天経済圏では相互のシナジー度が高いことはよく知られているので、楽天市場をよく使うなど、楽天経済圏にいるという自覚があるなら楽天モバイルに入っていても損はないかもしれない。
(取材・文=清談社)