さらに、マンションを購入した場合は、管理費や修繕積立金など1000万円以上かかることを忘れないでほしい。修繕積立金は、通常、販売時には低めに設定を行い、一定期間後に値上がりや一時金を徴収されることが一般的だ。徴収済みの修繕積立金では、実際の工事費用が不足してしまうためである。
恐ろしいローン金利のカラクリ
購入する場合の試算は35年の固定金利で行ったが、変動金利型や固定金利選択型を選んでいる場合は、さらにローンの負担が重くなる可能性が高い。住宅を持つことのリスクの第5位が「ローン金利」の上昇であるが、実は金利の上昇が一番コワいことをご存じだろうか? 修繕積立金であれば、毎月の支払い額はさほど大きくなく、不足分を補うために一時金の支払いが発生しても、とりあえずはその時だけしのげば大丈夫だが、住宅ローンの返済を怠ると家を失ってしまうことがあるからだ。特に頭金ゼロなど、毎月の負担が10万円以下のローンで買える物件には注意をしてほしい。
<3500万円、35年返済、固定金利の場合>
金利 1カ月あたりの返済額
1% 9.9万円
2% 11.6万円
3% 13.5万円
4% 15.5万円
5% 17.7万円
この表は金利の上昇と返済額を記載した。1%では10万円以下であっても、金利が上がると返済額は思った以上に高くなる。せいぜい払えるのは3%くらいまでではないだろうか。というものの、利息の計算は残っている借入金を基準として計算するから、ここままの金額ではないが、一般的に住宅ローンは、当初利息ばかりに返済が回ってしまい、元金はなかなか減らない。さらに近い将来、国の政策として国債を海外の投資家に購入してもらうために、金利が高く誘導される時代が来る可能性も高い。
家は一生で一番大きな買い物となるわけだから、以上のような情報も勘案しつつ、自分のライフスタイルと世の中の動きをよく考えて選択する必要がある。「日本は少子高齢化が加速し景気はよくならないから、金利は上がらないよ」との声も聞こえるが、2012年2月のギリシャの金利は35%前後、ポルトガルは12%前後まで上昇している。日本がずっと金利が低いままだとは限らない。目先の返済額だけではなく、一生かけて払う金額を比べてみたり、世の中の動きを敏感に感じ取って、よい選択をすることが大切なのだ。
(文=横川由理/フィナンシャルプランナー)