平成元年の消費税導入から30年! その前身(?)の「売上税」を覚えていますか?
あなたにとって「懐かしい」とはどんな情景でしょうか? 1970~90年代の「懐かしい」を集めたのが、情報サイト「ミドルエッジ」。あなたの記憶をくすぐる「懐かしい」から厳選した記事をお届けします。
今回は、消費税導入前の1987年に導入が検討された「売上税」について振り返っていきます。
平成元年に始まった消費税
2019年10月に予定されている消費税10%への引き上げ。ここに来て、さらなる増税延期があるのでないかとの憶測も流れていますが、早かれ遅かれ、増税の道は避けられません。たかが2%、されど2%。特に大きな買い物をする際には如実に差が表れるため、引き上げの前に高額な家電やブランド品、さらには住宅の購入を検討している人も少なくないといいます。
思えば平成の30年間は、消費税と共に歩んだ時代でもありました。バブル絶頂期の平成元年(1989年)・竹下登内閣時に消費税法施行から税率3%の消費税がスタートし、平成大不況真っただ中の平成9年(1997年)・橋本龍太郎内閣時に5%へ増税。続いて、平成26年(2014年)に現行の安倍内閣の時に8%へ引き上げられ、その後、何度かの延期を挟んで、2019年10月に10%への到達が決定しました。
消費税がなかった時代を知る人にとっては、3%→5%→8%と来て、とうとうここまでに達したかと、「10」というキリの良い数字も相まって謎の達成感に満たされそうですが、思い返してみると、3%の消費税導入時には世論からの大変な反発が起こったものでした。
竹下登の孫・DAIGOは、消費税のために学校で責められる羽目に……
平成元年の消費税3%導入当時、市民の怒りの矛先は、当然、時の首相・竹下登へ向きました。東京の街には「弱い者いじめの『竹下消費税』断固反対」という横断幕が掲げられ、地方の商店街にも「消費税断固反対」と書かれた看板が立ち並びました。竹下登の孫・DAIGOによると、この当時は学校などで同級生から相当責められたといいます。総理大臣の家族もなかなかつらいものです。
「大型間接税と称するものはやらない」と断言していた中曽根首相だったが……
そもそも消費税の導入は1979年、大平正芳が内閣総理大臣だったころに閣議決定され導入寸前まで行きましたが、その年の10月に選挙で自民党が大敗したためご破算に。その後、中曽根康弘が総理を務めていた1987年2月に「売上税法案」が国会に提出されました。
中曽根首相は1986年7月の衆参同日選挙時に「国民が反対する大型間接税と称するものはやらない。皆さん、この顔がうそをつく顔に見えますか?」と発言していました。それがまさかの「売上税法案」提出……それも「5%」というかなり強気な税率だったこともあって、中曽根首相には「ウソつき」と批判が殺到することになりました。
なお、消費税と売上税の違いを説明すると、消費税が製造、卸、小売といった取り引きの段階ごとに各事業者の売上額を対象にその都度、課税されるのに対して、売上税は小売段階のみ課税されます。ということで、貧乏くじを引いた小売業者から猛反発に遭ったのはいうまでもありません。中には、「うちは小売りでなくて卸売りです」など言って課税を逃れようとする事業者も現れたといいます。
このような国民の反発を受けて、中曽根内閣は売上税を断念。その結果、小売業者だけではなく、卸売業者、製造業者、果ては消費者まで、広く多段階にわたって課税を行っていく消費税が施行されることになったのでした。
この連載では次回以降も皆さまの脳裏に「懐かしい」が蘇りそうな記事を提供して参ります。「こんな記事は?」「あのネタは?」なんてお声も、ぜひお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
(文・構成=ミドルエッジ)
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