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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国、領土拡張狙い蛮行の限り尽くす!世界中が非難でも無視、紛争をまき散らす

文=渡邉哲也/経済評論家
中国、領土拡張狙い蛮行の限り尽くす!世界中が非難でも無視、紛争をまき散らすの画像1「Thinkstock」より

 当連載前回記事『中国の経済発展は、世界的な食糧危機&資源不足をもたらす!対立激化で不幸を生む!』では、現在の世界情勢を俯瞰して見ると同時に、「グローバリズムの終わる世界」について論じた。

 その中で、最近のアメリカと中国の緊迫した状態について触れたが、今回はその米中関係について考えてみたい。

 中国は2000年代に入って飛躍的な成長を遂げ、10年には日本を抜いてGDP(国内総生産)で世界2位に躍り出た。1位はもちろん、アメリカだ。そこで、一部では「これからの世界は、アメリカと中国の2大国が支配する」という論調が生まれた。いわゆる「G2論」だが、これは幻想であり、虚像にすぎない。

 なぜなら、前回記事でも言及したが、世界はトレードオフによって成り立っているからだ。つまり、「中国が発展して力をつけ、アメリカも発展して力をつける」などということはあり得ない。

 今後さらに中国が発展すれば、それに伴ってアメリカの世界支配力は落ちることになる。そして、自国の支配力低下をアメリカ人は良く思わないだろう。

 これは、16年11月に迫ったアメリカ大統領選挙の様子を見ても、よくわかる。現在、共和党の候補者指名争いで、実業家のドナルド・トランプ氏が有力とされている。以前から放言の多かったトランプ氏は、12月7日に飛び出した「イスラム教徒の入国禁止」発言で国内外から批判を浴びたが、依然として支持率は高い。

「ひょっとしたら、このままトランプ大統領が誕生するのではないか」との声まで聞こえ始めている。では、なぜトランプ氏はそこまで人気があるのだろうか? それは、トランプ氏が国民に対して「強いアメリカ」を見せつけているからである。

 アメリカは、あらゆる面で強くなくてはならない。それは、ある種の国是であり、アメリカ人の共通認識である。しかし、08年のリーマン・ショックや中国の台頭などによって、近年のアメリカは弱体化している。

 世界の中で力を失っていく自国の姿を見て、アメリカ人たちはこう思う。「やはり、アメリカは常に強くなくてはならない」。そんな時に現れたのが、トランプ氏なのだ。

南シナ海でやりたい放題の中国

 では、中国が強大化するのは、そんなに悪いことなのだろうか? これは、「アメリカの下で強くなる」のであれば、良しといえる。しかし、中華思想で覇権主義の中国が、アメリカの下で安穏としているわけがない。

 そういった動きが表面化したのが、最近の南シナ海問題である。毎年5月、アジア太平洋地域の国防大臣などが参加する「アジア安全保障会議(シャングリラ会合)」がシンガポールで開かれる。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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