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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

民泊、マンションでごみ放置や大騒ぎ問題が深刻化…国は民泊推進、その課題と論点とは

文=牧野知弘/オラガHSC代表取締役
民泊、マンションでごみ放置や大騒ぎ問題が深刻化…国は民泊推進、その課題と論点とはの画像1「Thinkstock」より

 昨年後半くらいからメディアで盛んに取り上げられ始めた言葉がある。「民泊」だ。この言葉は、背景を知らない人が聞けば「民宿」と混同しそうだが、意味合いは似ている。普通の家を宿泊場所として提供するという意味だ。

 エアビーアンドビー(Airbnb)という宿泊サイトがある。2008年に米国のカリフォルニア州で誕生した民泊サイトだ。現在では世界190カ国、約3万4000都市で80万以上の宿泊施設と契約を交わし、累計で3万5000人以上の顧客がこのシステムを利用しているといわれる。

 仕組みは簡単だ。自宅の余っている部屋を他人に貸したい、あるいは空き家を所有しているので活用したいと思っている人は、Airbnbのサイトに登録すればよい。該当する部屋を登録し、宿泊料金は自由に定める。これで準備は完了だ。サイトは宿泊料金から一定の手数料をとるだけだ。

 これに反発したのが全国のホテルや旅館だ。なぜならば日本では旅館業法で、ホテルや旅館は厳しい規制のもと顧客の安全・安心に対する体制整備を求められているからだ。規制をクリアするために多額の設備投資を行っているというのに、一般住宅がなんの規制もなく、野放しで繰り返し顧客をとることになれば、あきらかな業法違反といえる。

 しかし、いっぽうで20年の東京五輪はまだ先だというのに、訪日外国人の増加が止まらない。15年には、その数は1900万人を超え、政府目標である「20年までに2000万人」という目標を、早くもクリアしてしまいそうな勢いだ。

 すでに東京では約1万室のホテル客室が不足しているといわれ、新規の供給が需要の急ピッチな増加にまったく追いつけない事態となっている。結果として、東京や大阪、京都といった都市でホテルの予約がしづらい状況が続いている。

国、認める動き

 慌てたのが政府だ。このままでは東京五輪が開催される前に、国内のホテルは完全なパンク状態になる。どちらかといえば、クレームとして取り上げられたはずの「民泊」を逆に利用すべきとの声が盛り上がり始めた。

 既存のホテルや旅館からの反発を承知のうえで取り組んだのが、国家戦略特区のかたちでエリアや宿泊の内容などを「限定的」にしたうえで、認めていこうという、いかにも日本的な「仕方がないから一部に限って認めてやろう」的な動きだった。

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にも関わり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。
オラガ総研株式会社

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