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6カ月間で休みはたった4日、連続91日勤務…想像を絶する勤務実態で過労死した女性

文=里中高志
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本当に豊かな生活とは……

 斎藤さんの長女は、20歳で出産したシングルマザーだった。

「いくらなんでも仕事がハードすぎではないか」と心配する長女に斎藤さんは、「この年だとほかに雇ってくれるところもそうないし我慢する。少しでも家計の足しにしたいし」と、毎日仕事に出かけて行った。

 朝日新聞デジタルが公開した動画の中で長女は、「休みはまったくなく働いてました。自分が休んだら回らんっていうプレッシャーのせいで、お母さんとの時間も全然つくれなかった」とたどたどしく語る。

 齋藤さんをそこまで長時間の仕事に追い込んだものはなんなのだろうか。

 生活のために長時間働かざるを得ない、という実態があったのかもしれない。加えて、人件費を切り詰めるため、ギリギリの人数でまわす職場もひとつの要因だろう。

 最近、若者たちを中心に「最低賃金を時給1500円に」と求めるデモが各地で行われるようになった。

 今年のメーデーでは、長時間労働や過労死の防止を掲げたデモも目についた。「時給1500円デモ」には、ネット上で「それだけの働きをしているのか」という批判や、それでは商売が成り立たないという懸念の声もあがった。

 だが、生活のためにギリギリまで追いつめられる層がいる――。この社会がひずみを抱えており、転換期を迎えているのは明らかだ。

「休日のない生活が当たり前」では、人間らしい心のゆとりや、家族との時間など持ちようがない。この国が目指すべきは、数字だけの経済成長よりも、本当に豊かな生活の実現ではないだろうか。
(文=里中高志)

里中高志(さとなか・たかし)
精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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