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三浦展「繁華街の昔を歩く」

東京・大塚ブームの兆候…定年退職世代を引き寄せる魅力の秘密:飲み歩き、歩き回る街

文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表
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街の回遊性

 だが、私はこれから大塚はますます発展すると思っている。まず地形が渋谷に近い。駅が低地にあり、駅から見ると、山と谷が入り組んでいる。谷にできた道の数はおそらく駅から見て10以上の方向に放射している。これが渋谷にそっくりなのだ。

 道が放射状になっている街は、それらの道を横につなぐ拠点ができると、来街者が街を回遊するようになる。「串駒」とその弟子たちの店、もちろんその他の店もハシゴして歩ける。居酒屋ネットワークとでも言うべき回遊性が生まれやすいのである。

 しかも大塚には先ほども書いたように銭湯がまだ数軒あるし、バッティングセンターもある。大衆的な娯楽が充実しているのだ。

 今、団塊世代に次いで、私のような昭和30年代生まれが会社を定年し始めている。この世代は、どうも街歩きが好きな世代であると私は思っている。若い頃に、渋谷、原宿、青山、代官山、恵比寿あたりを歩き回った経験があるし、それらの街が、最初は今よりずっとマイナーだったのに、どんどんお店が増えていっておしゃれになっていくプロセスを知っているからだ。

 そういう世代が、飲み歩きを中心として街を歩き回る時代が来ている。そのとき大塚は彼らが必ず訪れる街になると思う。
(文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表)

【参考文献】
『豊島区史 通史編2』

三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表

三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表

82年 一橋大学社会学部卒業。(株)パルコ入社。マーケティング情報誌『アクロス』編集室勤務。
86年 同誌編集長。
90年 三菱総合研究所入社。
99年 「カルチャースタディーズ研究所」設立。
消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。
著書に、80万部のベストセラー『下流社会』のほか、主著として『第四の消費』『家族と幸福の戦後史』『ファスト風土化する日本』がある。
その他、近著として『データでわかる2030年の日本』『日本人はこれから何を買うのか?』『東京は郊外から消えていく!』『富裕層の財布』『日本の地価が3分の1になる!』『東京郊外の生存競争が始まった』『中高年シングルが日本を動かす』など多数。
カルチャースタディーズ研究所

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