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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」 

50歳以上の2~6%、脳動脈瘤の恐ろしさ…破裂ならくも膜下出血、脳ドックの勧め

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
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 健康ブームといわれて久しい昨今、健康をテーマとしたテレビ番組が数多く放送されている。そのうちのひとつである情報番組『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)にDJ KOOが出演した際、脳に重大な問題が見つかった。その問題とは、「脳動脈瘤」である。

 DJ KOOの脳動脈瘤は、すでに一刻も早く手術をする必要があるほどの大きさだったようだ。その後、DJ KOOは手術を受けて事なきを得、現在は以前にも増して活躍している。この脳動脈瘤は、50代以降に増加する傾向にある。

 虫の知らせか、筆者も特に症状があったわけではないが疲労から健康に不安を感じ、念のため受けた脳MRIで2.5mmの脳動脈瘤と思われる所見があり、経過観察中である。筆者やDJ KOOと同世代の働き盛りの読者諸氏へ脳ドックを勧めたいとの思いから、今回は脳動脈瘤について解説したい。

脳動脈瘤とは

 脳動脈瘤とは、脳の血管にできた“コブ”である。詳しく言うと脳動脈の中でも脳底部を走行する血管にコブのように膨れた部分のことである。できやすい部位は、中大脳動脈、内頸動脈、前交通動脈、脳底動脈などの血管が枝分かれする箇所といわれる。その大きさはさまざまで、2mm程度から25mm以上と大きなケースもある。脳動脈瘤があっても、大きくならず、かつ破裂しなければ、なんら問題はない。

 しかし、もし動脈瘤が破裂すれば、「くも膜下出血」となる。こうなると、死に直結する可能性が強くなる。くも膜下出血の約半数は即死、あるいは昏睡状態ともいわれる。速やかに病院に搬送され最善の治療が成功したとしても、大きな後遺症が残る可能性もある。こう聞いただけでも、脳動脈瘤がいかに危険をはらんだ状態であるかが理解いただけるだろう。

50歳以上で増える罹患率

 50歳以上では2~6%の人が脳動脈瘤を持っているともいわれる。単純に考えれば、100人のうち2~6人だが、これが多いか少ないかは判断しかねる。しかしながら、その未破裂脳動脈瘤を持つ人のなかで、くも膜下出血を起こす可能性はさらに低くなり、0.02~0.05%といわれている。必ずしも脳動脈瘤がくも膜下出血に直結するわけではないことを理解してほしい。

 脳動脈瘤が起きる原因としては、外傷によるケースや高血圧、高コレステロール血症、喫煙などが危険因子となることも否定できないが、多くは先天的なものといわれる。筆者の祖母も、くも膜下出血で亡くなった。筆者が3歳くらいのときだったと記憶しているが、あれから45年過ぎた今、自分に2.5mmの脳動脈瘤が見つかり、祖母のことを思い出しているのは、なんとも複雑である。

 一般的には、5mm以下の脳動脈瘤の場合は「経過観察」となる。早期発見できれば、血圧のコントロールをはじめ、過度の飲酒や喫煙など極力危険因子を避けることができる。働き盛りの読者諸氏も、健診の際にはぜひ脳ドックのオプションもつけることをオススメする。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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