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知ってるようで知らない……薬局の歩き方・クスリの選び方 第18回

高額コラーゲン商品の嘘~サプリは老化防止効果なし、化粧水で肌に雑菌繁殖

文=へるどくたークラレ

●コラーゲンの話は全部嘘なのか?

 さて、コラーゲンビジネスのお粗末な舞台裏の話をしてきましたが、では実際にコラーゲン商品を食べて「肌が綺麗になった」「関節痛が治った」という話があるのは、まったくのデタラメなのでしょうか?

 体を構成する総タンパクの1/3がコラーゲンであり、コラーゲンを生成するのに必要な成分であるアミノ酸は、インスタント麺やファストフードなどで食事を済ますことの多い現代の日本人には不足している人が多いというのは事実です。

 例えば厚生労働省が行っている『国民健康・栄養調査』では、日本の成人は男女ともに1日に数十グラムのタンパク質をとっており、その半分が動物性タンパクですが、どうしても食べやすい肉を食べがちになり、コラーゲンの摂取量は、男女ともに2〜3gを下回っているといわれています。

 コラーゲンは、動物のほぼ全身に分布しています。中でも皮膚、腱、骨には含有量が高いのです。例えば二束三文でスーパーや精肉店で売られている鶏皮などは重量の70%がコラーゲンです。また、すじ肉や硬い魚の肉のスジもコラーゲン線維です。しかし、硬くてあまり美味しいとはいえない部分に多く含まれるので、現代社会の食生活では、栄養素としてコラーゲンの摂取不足になりがちです。

 これらのアミノ酸を動物由来のゼラチンから摂取することで、大量のアミノ酸摂取が可能になり(しかもローカロリ−)その結果、代謝が正常に戻り、体内での結合組織を始め、多くの臓器や皮膚に至るまで、本来あるべき姿に戻せるというのは嘘ではありません。

 実際に、ゼラチンを1日に5〜10g摂取したヒトの臨床例では、関節痛の低減や、肌や爪に潤いが出るといったものが確認されています。

 要するに今まで、不健康な食生活を送っている人が、「コラーゲンゼリー」と称した高額商品を買って、摂取することは、結果的に栄養状態の改善につながり、皮脂の分泌が正常になったり、関節痛が低減したりといった有効な作用が見られるということは、起こり得るわけです。

 これが、コラーゲン商品が長年支持されているカラクリなのですが、当然何千円、何万円とする価格には根拠がまったくありません。

●コラーゲンで究極のダイエットメニュー

 ゼラチン自体は体に悪い成分ではなく、むしろ適度に摂取することは健康維持に良いことがわかりました(当然、個人差もあるので、万人にという意味ではありません)。

 しかし、だからといって、年間を通して何万円もただのゼリーにお金を払うのはもったいないとしかいえません。

 ネットで検索すれば、コラーゲン粉末は格安で手に入ります。それに難消化性デキストリンもセットにすると、手軽にダイエット食品がつくれます。

 難消化性デキストリンは、市販されているほとんどのコラーゲン商品に含まれている陰の立役者です。この成分は、腸内でほとんど代謝されずに糖分と絡み合い、その結果食物繊維として働くだけでなく、整腸効果および血糖値を安定させる働きがあります。人によってはおならが出やすくなったり、おなかがゆるくなる場合もありますが、毒性などはありませんから、試してみる価値はあります。

 使用法としては、朝晩、ホットコーヒーやホットミルク、電子レンジで温めたフルーツジュースでもなんでもいいので、そこにゼラチンと難消化性デキストリンを各5g溶かして飲むだけです。米を炊くときに入れても、味噌汁に入れてもいいのです。要するに、なんらかのかたちで食生活に取り入れるだけです。

 これで何千円、何万円もするダイエット食品と同じ効果があります。それでも何も効果がなければ、高い商品に手を出しても、何も効果がないといえます。
(文=へるどくたークラレ)

へるどくたークラレ

へるどくたークラレ

覆面の不良科学屋。添加物を駆使した食欲の失せるカラフルな料理やら、露悪的で馬鹿げた実験を紹介していく、『アリエナイ理科ノ教科書』の著者、SFやミステリーの設定やトリックの監修も務める。こっそり大学でも教養課程で科学を教えていたりする。過去の連載をまとめた『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬』は好評発売中。公演やテレビ出演なども多数。無料のメールマガジンも配信している。

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