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気鋭の識者が語る“話題のビジネス書”の長所と短所

話題本『米国製エリートは本当にすごいのか?』はすごい?

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 本書は、最初の2章で、米国の一流大学について、また世界中から米国の一流大学に集まるエリート学生について解説しています。続く3つの章で、経済とビジネス、歴史、国際政治とインテリジェンスについて、それぞれ「米国エリートの教育スタイル、思考法」が紹介されます。そして最終章では、日本人エリートの未来について述べられています。
 

 まず本書は、アメリカの大学ではとんでもなく優れた教育をしているのではないかと思っている人への良い解毒剤になるでしょう。一流大学の大学院で勉強しているエリートだといったって、所詮は同じ人間です。思ったよりも普通だなと安心するかもしれません。また第1章と第2章は、アメリカ留学に関心がある方々にとって参考になるでしょう。

 アメリカの大学院留学に関心があるビジネスマンの中には、もしかしたらハーバード大学のビジネススクールに留学した岩瀬大輔さんのBlog や、ニューヨーク大学のロースクールに留学した中山龍太郎さんのBlog を読んだことがあるという方がいるかもしれません。前者は『ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて』(日経BP社)というタイトルで書籍としても販売されています。

 ただし岩瀬さんや中山さんは、はっきりいって留学前から抜群のエリートだったわけです。普通の人にとってはあまり参考にならないかもしれません。これに対して著者の佐々木さんは、もう少し身近な存在です。

 これは謙遜もあるでしょうが、著者は「語学力の不足もあり、議論についていけないことも多々」あった学生です(p.30)。また、「米国人の学生三人と…コンサルティングするプロジェクトに携わった」が、米国人たちが作り出す仮説が「現場のニーズと乖離していく」のを止められず「二度もプロジェクトが振り出しに戻って」しまうといったような、なかなか思い通りにはならなくて困った経験もされています(pp.76-77)。

 そう言った意味では、本書は、普通の人にとって参考になる留学記だと言えるでしょう。

 また本書は、佐々木さんと同じく、ジャーナリストとしての経験を経て大学院に進んだフィリップ・デルヴス・ブロートンさんの著作『ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場』(日経BP社/2009年)と比較しながら読むと、面白いかもしれません。

主張の根拠に疑問
 

 本書の大部分では、スタンフォード大学大学院の修士課程で国際政治経済を専攻した一人の日本人学生の視点から、アメリカにおける大学院教育が描かれています。しかしエリート教育は修士課程のみで行われるわけではありません。学部におけるリベラルアーツ教育や大学院博士課程における専門的な研究者養成過程も重要です。また同じ修士課程でも、ロースクールやビジネススクールでは、また違った教育が行われているはずです。そして大学による差異もあるでしょう。

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