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「デフレの申し子」企業の苦闘

“デフレの申し子”外食に量販店、値下げと値上げの間で揺れる苦闘の舞台裏

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 10年2月期に売上高が2兆円を突破し、次のステップとして3兆円の目標を掲げたが、その後は縮小の一途をたどる。ベスト電機買収を発表したときには、売上2兆円回復といわれたが、ふたを開けてみれば13年3月決算もベストと合算しても2兆円に手が届かなかった。ことごく読みが外れている。それでもヤマダの減益幅は同業他社に比較すれば、よく踏みとどまっているほうだ。2番手以下の家電量販店は総崩れの状態だからだ。

 昨年、ビックカメラがコジマを、ヤマダがベストを買収したとき、家電量販店業界は、ヤマダ、エディオン、ケーズホールディングス、ビック、ヨドバシカメラの5大グループに集約された後に、大手同士の事業統合という再編シナリオが語られた。ところが、ここへ来て、大手同士の再編観測は影を潜めた。業績が悪化しているためだ。合併効果が出ないことがわかってきただけではない。家電量販店の敵は同業他社ではなくなった。米アマゾンに代表されるインターネット通販が最大の脅威となってきた。

 そのアマゾンだが、注目すべき動きがあった。13年3月期決算で初の営業赤字に転落したエディオン(久保允誉会長兼社長)がアマゾンの通販サイトに、今春、出店した。今後、さらに提携を進め、アマゾンの物流センターをエディオンが利用したり、エディオンの各種アフターサービスをアマゾンの利用者に提供することを検討するのではないか、と家電量販店業界では見ている。

 ネット通販の脅威は2つある。1つは量販店がショーウインドー化することだ。消費者は店頭に行き、実物の商品を実際に触って確かめるが、その店舗では買わない。その場でスマホ(スマートフォン)を活用して、同じ商品を一番安く売っている通販サイトから購入する。若い女性は百貨店でファッション衣料の品定めをして安い専門店で購入する消費行動をとるが、家電にも、これが及んできた。

 2つ目は価格だ。ネット通販のほうが家電量販店より安く購入できるようになった。これは家電量販店にとっては死活問題だ。ネット通販の価格に対抗するためには、仕入れコストを引き下げるしかない。異業種と提携するか、自前のネット部門を強化するためにネット通販会社を買収するという選択肢が考えられる。

 ヤマダ電機が力を入れる住宅(エコハウス)事業も、まだ黒字化していない。14年4月の消費税増税で家電市場が一段と冷え込むのは避けられない。ケーズホールディングス(加藤修一会長)、ビックカメラ(宮嶋宏幸社長)も安閑とはしていられない。異業種を巻き込んだ再編は、これからが本番だ。

●紳士服チェーン大手は女性に的を絞る

「消費が盛り上がっても、紳士服の購入は後回しにされやすい」。コナカ(湖中謙介社長)の沼田孝専務は、3月中間決算の発表の席上でこう語った。コナカの本決算は9月である。アベノミクスによる消費押し上げ効果が出るのは、まだまだ先だ。

 紳士服チェーンのAOKIホールディングスと青山商事は、13年度に出店数を大幅に増やす。AOKIは2014年3月期に過去最多となる50店を開業。今後5年で最大320店を開く計画だ。初期投資を従来より2割抑えた低コスト店を九州や東北など、これまで手薄だった地域に展開する。

 主力の紳士服スーツ市場が先細りするなか、店舗網を広げ、婦人スーツの販売に力を入れる。婦人スーツの専用売り場を設け、20代~30代を中心にOLや主婦の新規需要を掘り起こす。

BusinessJournal編集部

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