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東芝、恐怖の底なし巨額賠償支払い地獄か 影落とす28年前の日米“東芝事件”

文=寺尾淳/ジャーナリスト
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東芝、恐怖の底なし巨額賠償支払い地獄か 影落とす28年前の日米“東芝事件”の画像1東芝の事業所(「Wikipedia」より/Waka77)

「不適切会計」問題に揺れる東芝は7月21日、前日に第三者委員会から組織的な関与があったと断定する報告書を受け取ったことを受け、田中久雄社長、佐々木則夫副会長、西田厚聰相談役の歴代3社長が同日付で辞任した。報告書では、問題となった一連の会計処理の中では意図的に「チャレンジ」と称する見かけ上の利益のかさ上げを行っており、それに経営トップを含めた組織的な関与が認められると断定していた。

 辞任した田中氏は21日の記者会見で「140年の歴史で最大ともいえるブランドイメージの毀損」と述べた。

 東芝株は東京株式市場で、16日に年初来安値の369.3円(終値)まで下落していたが、17日は7.5円高、21日は23.1円高で、22日も午前中に7.6円高まで上昇し「悪材料をすでに織り込んだ」と思われていた。ところが、22日午後の取引再開時に急落して16.5円安まで下落し、終値は6.8円安。23日は3.4円安、24日は2.2円安で、3日続落した。

 22日の昼下がり、東芝に何があったのか――。

 それは「アメリカでクラスアクション(集団訴訟)準備中」というニュースだった。株式市場での株価の方向を一変させるほどの悪材料で、日本企業にとっては大きな恐怖だということを、あらためて認識させた出来事だった。

 東芝を相手取ったクラスアクションとは、日本経済新聞によれば、6月4日付でカリフォルニア州の連邦地裁に提訴され、7月22日までにそれが判明したという。提訴したのはアメリカの個人投資家で、インフラ事業の費用に関連して投資家に誤った情報を伝えたことを問題視し、東芝株、東芝のADR(現物株を裏付けとし、株式同様に市場で売買されるアメリカ預託証券)の下落で被った損失に対する損害賠償を求めている。

 それとは別に、アメリカのローゼン法律事務所が投資家に対し、6月初旬から損害賠償請求のクラスアクションに参加するよう呼びかけている動きもある。東芝が第三者委員会を設置して調査を開始し、3月期本決算の業績予想を取り下げた5月7日以前に東芝のADRを購入した投資家が対象で、アメリカ国外の居住者でも訴訟に参加できる。

 5月7日から年初来安値をつけた7月16日までに、東芝の株価は終値ベースで23.3%下落した。これが損失の根拠である。

 参加申し込み期限は8月3日で、それまでに訴訟参加者は100人を超えるのではないかとみられている。訴える相手は法人としての東芝だけでなく、辞任した田中氏、佐々木氏個人も含まれる。

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